【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~MUSIC MAN EVH編~

今回は1990年代後半にメインギターとして大活躍し、近年再びレコーディングやツアーで使用されている"MUSIC MAN: EVH"についてまとめていきます。

これまでの専門誌、ライブ映像、そして2018年開催の「B'z 30th Year Exhibition "SCENES" 1988-2018(以下『エキシビション』)」の会場で肉眼で確認できた内容をまとめていますが、一部に個人的推測もありますので誤報もあると思いますがご容赦ください。

ERNIE BALL MUSIC MAN EVH Trancelucent Pink #86255

写真左:シンコーミュージック『GiGS』1995年11月号 P.12
写真右:シンコーミュージック『GiGS』1997年6月号 P.33

「B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"(以下『BUZZ!!ツアー』)」で突如姿を現し、以降1990年代後半のメインギターの1本として使用され、エキシビションでも展示されました。都内楽器店で何気なくさわったところネックの感触が気に入って即購入したことが出会いとのことで、その時に何本かあったそうですがピンクは珍しいため購入したそうです。

ご存じの方も多いと思いますが、このギターはアメリカのハードロックバンド、VAN HALENのギタリストであるエドワード・ヴァン・ヘイレン(以下「エディー」)のシグネチャー・モデルで、いちプロギタリストのモデルでありながら様々なプロギタリストがステージでも使用する程のスタンダードなモデルです。

1991年~1995年に生産されていて販売総数は全世界で約6000本とのことですがその内ピンクのモデルは約200本と少なく、今でも中古市場では高値かつ即売れ状態が続いています(エディーのシグネチャー・モデルなのに市場価格高騰の原因が松本さんというのはなんとも皮肉ですが…)。

ボディ材はキルテッドメイプル・トップ、バスウッド・バックでネックおよび指板材はバーズアイメイプルの所謂貼り指板ですが、一枚のメイプルを一度ネックと指板に切断後にトラスロッドを仕込んでから再接着するという手の込んだ仕様になっています。

個人的に知る限りでは松本さんの所有するピンクのモデルはトップの杢目とネックのバーズアイが最も出ている極上の個体と思っていて、EVHモデルのコレクターは世界中にいますがその中にもこれほど杢目の出ているピンクの個体は見たことがありません(あくまでもピンクのモデルの中では…です)。

シリアルナンバーは#86255で、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1994年9月13日製造であることがわかります。

大胆なモディファイを実施!

上の右側の写真は「B'z LIVE-GYM Pleasure '97 "FIREBALL"(以下『FIREBALLツアー』)」時に撮影されたものです。

入手当初は写真左側のようにロックピン装着以外はそのまま使用していましたが、その後ベタ付けだったロック式トレモロユニットをアームアップ奏法ができるようにザグりを施しています(これにより当初とはサウンドが変わってしまったとのこと)。

またエディーの洒落でつけられた「”TONE”ノブ (クリーム色に黒文字)」は「”VOLUME”ノブ (白色に金文字)」に交換されていて、ヘッドのエディーのサインも松本さんオリジナルのロゴ (ドクロに”GO NO FURTHER”の文字入り)に入れ替えられています。

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2019年11月号  P.181

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.122

その他ピックアップセレクター(トグルスイッチ)がレスポールと同様のストロークが長く、ノブも長いものに交換されています。またトグルスイッチは形状から国産品で、トグルナットは中心に線状の窪みがあるやや特殊なものが採用されています。

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2019年11月号  P.181

ちなみに下の写真のように交換直後と思われる「B'z LIVE-GYM '96 "spirit LOOSE"(以下『spirit LOOSEツアー』)」のリハーサル時点では黒いセレクターノブになっていました。

写真:1996年発行 八曜社『B'z LIVE-GYM '96 "spirit LOOSE" パンフレット』P.7

またspirit LOOSEツアー・リハーサル時の別写真からザグりが施さたのもこの頃と推察されます。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO PLAYER'S BOOK』P.26

いち早くバックルガード導入!

写真:シンコーミュージック『GiGS』1996年9月号 P.23

上の写真からわかるようにボディ・バックのスプリングキャビティ・パネルにはフェラーリのステッカーが貼られている他、spirit LOOSEツアーの時点で既にバックルガードが導入されています(向かって右側の光の反射が違う部分がバックルガード)。

EVHはポリエステル塗装なのでレスポールなどのラッカー塗装よりも比較的傷に強いにもかかわらずバックル傷対策が施されているところに当時バックル傷に対してかなり敏感になっていた様子が窺えます。(ちなみに当時のもうひとつのメイン機である1991年製ゴールド・トップのバックルガードが最初に確認されたのは1997年のFIREBALLツアーですが、EVHには1996年時点で導入されていることに鑑みると実はEVHと同様に1996年が導入初年度ではないかというのは考え過ぎでしょうか…(笑)。写真・映像共に存在しないのでおもいッきり憶測ですが…)

約20年ぶりに松本さんの手元に!

このギターはFIREBALLツアー後に姿を消してしまい、以降一度も専門誌やアーティスト写真にも登場しないなど長年行方不明になっていましたが、昨年エキシビション時のSNS上での捜索願いをきっかけに約20年振りにめでたく松本さんの手元に戻ったのは記憶に新しいところです(一部に30周年の話題作りとして自作自演ではないかといった声もあるようですが、それだとFIREBALLツアー以降一度も使用されていないことや2005年に全所有ギター写真が専門誌に掲載された時に載らなかった説明がつきません)

ERNIE BALL MUSIC MAN EVH Trancelucent Purple

写真:シンコーミュージック『GiGS』1995年11月号 P.12

BUZZ!!ツアーでサブギターとして用意され、当時のTV出演でも使用されたギターです。ピックアップがオリジナルのゼブラカラーからダブルブラックのタイプに交換されていることとロックピン装着以外はオリジナルと同様と考えられます。

あまり使用されなかったようで、その後このギターは都内大手楽器店で競売にかけられることになりますが(当時その楽器店に見に行きました)、近年再びオークション上に姿を現しました。

競売にかけられた時の広告を持っていますので載せておきます。

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』1997年8月号内広告

ERNIE BALL MUSIC MAN EVH Trancelucent Gold #88740

写真:シンコーミュージック『GiGS』1997年6月号 P.33

spirit LOOSEツアーで初登場したギターで、最初に購入したピンクのモデルを気に入ったためトランス・ゴールドのモデルも欲しくなり購入したそうで、エキシビションでも展示されました。

ピンクのモデルと同様のモディファイが施されていますが、トグルスイッチを固定するトグルナットがレスポールと同様のすり鉢状のものが使用されていて(トグルスイッチは恐らくスイッチクラフト製)、そのためスイッチノブのボディからの飛び出し具合が若干短くなっています(下の写真参照)。

写真:シンコーミュージック『GiGS』1996年9月号 P.28

このゴールドとピンクのモデルはエキシビションで間近でみましたが、ネックと指板に黒ずみがほぼ無くて、とても全国ツアーで使用してきたとは思えない程綺麗な状態を保っていたのが衝撃的でした。このギターのネックおよび指板は無塗装でオイルフィニッシュなので使用により手垢やフレットの削れカスなどで少なからず黒ずんでいるのが常で、エディーの所有するギターも例外なく黒ずんでいます。というかそもそも松本さんが所有するギターはどれも綺麗な状態を保っていて(一部例外もありますが…)、昨今人気のエイジドやレリックといったものからは程遠いのが驚異的ですらあると思います。

⇒2021/08/18更新
ピンクのEVHは「ネックが通常の"EVH"とは異なるグロス・フィニッシュになっており(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2019年11月号 P.181)」とのことで、恐らくこのゴールドを含むEVHやAXISも同様の処理がされていると推察されます(ネック裏の写真を見るとかなり光沢が出ているのがわかります)。また、指板に関しても配信ライブなど近年のライブ映像を確認すると光の当たり方でやや黒ずみが確認できるもののかなり綺麗な状態を保っていることや指板エッジのみ黒ずみが強めに出ていることから、入手後比較的早い段階で塗装されている可能性があると個人的には思っています。

シリアルナンバーは#88740で、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1995年9月25日製造であることがわかります。

ERNIE BALL MUSIC MAN EVH Trancelucent Gold #85979

写真:シンコーミュージック『GiGS』1997年6月号 P.33

こちらはB'zのシングル「ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~」で使用されたギターで、前述のトランス・ゴールドを入手後に「もっとトップの目のいいのがある(出典:プレイヤー・コーポレーション『Player』1997年7月号 P.188)」ということで続けざまに購入したものとのことです。

前述のゴールドのモデルとほぼ同様のモディファイが施されていて、違いは「”TONE”ノブ」がそのまま使われていることとヘッドのロゴがペガサスを模したイラストになっている点です。

シリアルナンバーは#85979で、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1995年6月28日製造であることがわかります。

⇒2021/01/01更新
配信ライブ「B'z SHOWCASE 2020 -5 ERAS 8820- Day1~5」でDay1のオープニングナンバー「だからその手を離して」と2曲目の「BLOWIN'」で使用された際にはボディに「PCR検査済」のステッカーが貼られていました(下の写真右側の丸いステッカーの方です)。ちなみにDay4でも「BURN -フメツノフェイス-」で使用されていますがその際にはステッカーは剥がされていました。

ERNIE BALL MUSIC MAN EVH Trancelucent Gold #87892

写真:シンコーミュージック『GiGS』1998年3月号 P.20

比較的珍しいトレモロレスのモデルで、ROCK'N ROLL STANDARD CLUBの「Into The Arena」のMVやTV出演時に使用されました。ロック式トレモロユニットを搭載していないこと以外は他のモデルと同様で、モディファイの内容も同様です。

シリアルナンバーは#87892で、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1995年8月10日製造であることがわかります。

ERNIE BALL MUSIC MAN AXIS Trancelucent Black #88923

写真:シンコーミュージック『GiGS』1997年6月号 P.33

B'zのシングル「FIREBALL」のジャケット写真で確認できるモデルで、当時の広告に掲載されていた現物です。

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1996年11月号内広告

近年ではB'zのアルバム『DINOSAUR』で使用されています。エディーとの契約終了後に発売されたモデルで一番の違いはピックアップセレクターの位置の変更です。当時の松本さんはEVHのピックアップセレクターの位置が不満だったため改造も検討していたそうですが、AXISになって位置が変わったので試してみようということで使用し始めたとのことです。

写真では分かりづらいですが比較的大柄の杢目がはっきり出ていて、この個体に限らずAXIS販売開始時は杢目の綺麗な個体が多かったのを覚えています。他のEVHと同様のモディファイが施されているようで、ヘッドのロゴのみ別のイラストになっています。またAXISは当初から「”VOLUME”ノブ」が採用されているのでここはそのまま使用しています。

シリアルナンバーは#88923で、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1996年5月1日製造であることがわかります。

番外編:PEAVEY EVH Wolfgang Gold Top (Refinish) #91000583

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.49

FIREBALLツアーのみで使用されたモデルで「しばらくERNiE BALL/MUSIC MANを愛用していたこともあって、Peaveyがプレゼントしてくれた(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.49)」とのことです。

ボディは当初トランス・パープルだったものを「『やだ、こんな色』とか思って(笑)(出典:シンコーミュージック『GiGS』1997年9月号 P.33)」ゴールド・トップにリフィニッシュしています。

外観はEVH (AXIS USA)に近いですが、ボディはアーチ・トップに変更され、またホーンが伸びたデザインを取り入れることで肩から下げた時のボディバランスが改善しています。その他ピックアップセレクターがレスポールと同様に向かって左側に移動したことや1ボリューム・1トーン、ペグを3対3に配置するなどの変更が行われています。

ピックアップはフロント・リア共にピーヴィーと共同開発したオリジナルがダイレクトマウントされていて、オリジナル状態ではフロントピックアップはアジャスタブル・ポールピースがブリッジ側に配置されるようにマウントされていますが、松本さんは一般的な向きに変更しています。

松本さんはEVH (AXIS USA)と同様にベタ付けだったロック式トレモロユニットをアームアップ奏法ができるようにザグりを施し、ピックアップセレクターをレスポールと同様に演奏時に下側に倒した際にリアピックアップが選択されるように配線修正しています。またヘッドに前述のAXISと同様の髑髏を入れ、ボリュームノブ及びトーンノブをオリジナルの黒からパーチメントに交換しています。

余談ですが個人的な印象としてはB'zファンは"MUSIC MAN: EVH"を、エディー・ファンは"Peavey: EVH Wolfgang"や後継の"EVH: Wolfgang"を好んでいると感じていて、エディー・サウンドの変遷の中ではミュージックマン期がやや特異な気がしています。

おわりに

今回は「MUSIC MAN: EVH (とAXIS)」についてまとめました。やはり最初に登場したピンクのモデルのインパクトは大きく、後年発売される日本製のAXIS-EXにピンクの個体が多いのも納得です。

昨年ピンクのモデルが手元に戻ってきたのを機にメインギターのひとつとして再びレコーディングやツアーでも使用しているのはこのギターの完成度の高さを物語っていると思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です