【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~90年代ギブソン編~

2021年5月10日発売の『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』(以下「ギターブック」)で新たに判明した内容を含めて更新しました。

今回は松本さんが1990年代に入手したギブソン製ギターについてまとめていきます(記事の性質上、製造時期が古いギターも含まれています)。最初に入手したジミー・ウォレス・モデルと現在もメインギターとして活躍している1991年製ゴールド・トップ#1-5283、そしてヴィンテージについては下記記事で紹介していますのでそちらを参照してください。

【B’z機材】1991年製ジミー・ウォレス・モデルとゴールド・トップ:対照的な運命 【B’z機材】1991年製ゴールド・トップ:モディファイの変遷 【B’z機材】1991年製ゴールド・トップを徹底解剖 【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~ヴィンテージ・ギブソン編~

Gibson Les Paul Custom #92981833

写真左:シンコーミュージック『GiGS』1998年3月号 P.17
写真右:シンコーミュージック『GiGS』1994年5月号 P.6

「B'z LIVE-GYM '93 "RUN"」で初登場した1本で「B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"」頃まで使用された後に自宅練習用になりました。

当時メインで使用していたゴールド・トップと違い、こちらはレギュラー品でシリアルナンバーから1991年製です。入手の経緯については「ハッカイくんとね、白いレスポールってどうかなって話をしてて、『いいじゃないですか』ってちょっとおだてられて買ったギター(笑)(出典:シンコーミュージック『GiGS』1998年3月号 P.8)」と語っています。

入手当初は写真左のように白でしたが「B'z LIVE-GYM '94 "The 9th Blues" ~Part 1~ 」時には黒く塗り直され、ピックアップやノブも交換されています。

ちなみに「B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"」時点ではまだ白かったことが当時の専門誌の写真や映像作品『LIVE RIPPER』で確認できます(このことから「B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"」以前にリリースされた「裸足の女神」のジャケットの黒いレスポール・カスタムはこのギターとは別物だとわかります)

写真:シンコーミュージック『GiGS』1993年10月号 P.47

松本さんはこのギターについて「音はあんまり好みじゃなくて(出典:シンコーミュージック『GiGS』1998年3月号 P.8)」と語っていて、別記事で紹介したジミー・ウォレス・モデル のように売却されることはなかったものの、当時はレスポール・カスタムそのものが好みではなかったようです。

PUはリンディ・フレーリンの可能性大!!

リフィニッシュ時に換装されたゼブラ仕様のピックアップはスクエアウィンドウなしの艶ありボビンに外周の黒いアセテートテープが片側のみに巻かれているなどの特徴から「清正 」にも搭載されているリンディ・フレーリンの可能性が高いと思います(このレスポール・カスタムをはじめ複数の個体でリンディ・フレーリンを使用した結果が良好だったため清正もリンディ・フレーリンに換装したのではないかと個人的には思っています)。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.79

現在はブリッジ、テールピースも換装

現在はブリッジがオリジナルのナッシュビルタイプからABR-1へ、テールピースも形状から恐らくギブソン純正のアルミ製に換装されています。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.79

Gibson Les Paul Standard 30th Anniversary #A-0056

写真:シンコーミュージック『GiGS』1995年3月号 P.20

「B'z LIVE-GYM '94 "The 9th Blues" ~Part 2~ 」で初登場した、レスポール発表30周年記念として限定生産されたモデルです。シリアルナンバーから1981年製で、19フレットに"30TH ANNIVERSARY"の文字が入っているのが特徴です。ちなみに松本さんは1991年製ゴールド・トップをアニバーサリー・モデルと語ったことがありますが、正しくはこちらのモデルです。

若干モディファイが施されているようで、メインの1991年製ゴールド・トップと同様にブリッジは"GOTOH: GE101B"に換装され、ノブもオリジナルのバレルノブ (スピードノブ)からトップハットノブに交換されています。ピックアップはオリジナルの"Tim Shaw P.A.F. (NEW P.A.F.)"のようですが他のレスポール同様にカバーが外されています。

この30周年記念モデルは音が良いことで知られていて現在でも人気がありますが、当時の松本さんにとってはメインの1991年製ゴールド・トップがあまりにも良かったため、使用機会に恵まれなかった印象があります。

⇒2019/12/15更新
近年のアーティスト写真で使用されているダブルブラックのピックアップが搭載されたゴールド・トップは2005年の全所有ギター紹介時に掲載されていたもので、これが上述の30周年記念モデルと同じものと判断しました(下の写真参照)。

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.156

ほとんどのパーツが新たに交換されている他、リフレットにより19フレットの"30TH ANNIVERSARY"の文字も削り取られているようですが、所有レスポールで唯一ストラップピン下に入れられた白いクッションの潰れ具合の一致、さらに近年のレコーディング映像で確認できるシリアルナンバーの打ち方やペグ配置から該当するのはこの30周年記念モデルのみとなります。

また映像作品からネックは3ピースのマホガニーのようです(このモデルはオプションで1ピース・マホガニーの個体も存在します)。

⇒2021/06/10更新
ギターブックで判明したシリアルナンバーから上記写真の個体が30周年記念モデルと確定しました。

PUはリンディ・フレーリンの可能性大!!

前述の黒くリフィニッシュしたレスポール・カスタムと同様にピックアップはスクエアウィンドウなしの艶ありボビンに外周の黒いアセテートテープが片側のみに巻かれているなどの特徴から「清正 」にも搭載されているリンディ・フレーリンの可能性が高いと思います。

またブリッジも交換されていますが詳細不明のタイプで調査中です。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.80

Gibson Firebird V #94011469

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.48

「B'z LIVE-GYM '94 "The 9th Blues" ~Part 1~ 」時に入手したもので、入手当日の1曲目で初お目見えとなりました。シリアルナンバーから1991年製のもので、入手の経緯は覚えていないそうですが「あの頃、もしかしたら、ジョニー・ウィンターのライヴCDでも聴いていたのかも知れないな(出典:シンコーミュージック『GiGS』1998年3月号 P.8)」と後に語っています。

⇒2019/11/3更新
ギブソン社創立100周年にあたる1994年製となります(この年のシリアルナンバーの割り当てが例外なのと、そもそも通常の読み方だと頭の9以降の3桁から401日目となってしまうので合わないです)。ご指摘ありがとうございました。

前述のツアー時に使用してみたものの「似合わない(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.48)」とのことで長年表舞台から姿を消していましたが、「B'z LIVE-GYM 2012 -Into Free- EXTRA」でゼブラのハムバッカーに換装された状態で再登場しました(シグネチャー・モデル"Tak Matsumoto Firebird"の布石ですよね)。仕様はロックピン装着以外はオリジナルとのことです。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.88

また、ギターブックには2012年製のリイシュー・モデルも掲載されています。

Gibson SG Standard #91236414

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.48

「ROCK’N ROLL STANDARD CLUB BAND」ツアー時にAC/DCの「Back in Black」を演奏するために「アンガス・ヤング演るんだったらSGだろう(出典:プレイヤー・コーポレーション『Player』1997年7月号 P.181)」ということで入手したもので、シリアルナンバーから1996年製です。

このギターもロックピン装着以外はオリジナルのようで、当時の松本さんとしてはサウンドに不満があったこととヘッドが重くバランスが取りづらいとの理由で結局使用されることはなかったようです(前述のツアーではキーボードの増田さんが使用したそうです)。

ちなみに近年松本さんはヴィンテージの1961年製SG(当時は契約上「レスポール・スタンダード」として発売)を入手し、レコーディング・ツアー共に使用していたのは記憶に新しいところです。

また、ギターブックには2007年製のSG(1961年リイシュー)も掲載されています。

Gibson Les Paul Studio ”FIREBALL” #92956367

写真:シンコーミュージック『GiGS』1997年6月号 P.32

「B’z LIVE-GYM Pleasure ’97 “FIREBALL”」で1曲目の「FIREBALL」演奏時に使用されていたファイヤー・フレイムのペイントが印象的な1本で、シリアルナンバーから1996年製です。

ムーンアイズという自動車のペイントや改造を手掛けている業者の方がフリーハンドでペイントされたもので、後に複数の大手楽器店の企画物として同様のペイントを施したレスポール・スタジオが販売されました。当時の広告を載せておきます。販売価格はいずれの楽器店も同じでしたが明らかに狙ってますよね(笑)

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』1997年8月号内広告

入手の経緯は松本さんが3ヶ月ほどアメリカのサンディエゴ滞在時にローカル・バンドとライブをやる際にスペア・ギターとして購入したもので1200ドル程だったとのこと。

当時日本に戻ってきてからモディファイが施されていて、メインの1991年製ゴールド・トップと同様にブリッジは"GOTOH: GE101B"に(オリジナルはナッシュビルタイプのためスタッドも打ち直し)、テールピースは"GOTOH: GE101Z"に換装されています。またペグはブッシュ式のクルーソンタイプに(オリジナルはブッシュ側からナットで締めるタイプ)、トラスロッドカバーは無地のものに交換され、さらにリフレットも行われていてかなり手を入れているのが分かります。

ただ、もともとが「間に合わせ」で入手したため「サウンドは腰の抜けたようなどうにもならないギターでした(笑)(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.39)」とギターテックが語っています。

番外編:Futura (Unknown Handmade)

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年1月号 P.46

エクスプローラの原型とされているフューチュラのリイシューで、レコーディングスタジオに「押し売り的に持ってこられたもの(笑)(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.39)」とのことです。

B'zのアルバム『SURVIVE』収録の「泣いて 泣いて 泣きやんだら」のバッキングのレコーディング時に松本さんが知人から借りたコリーナのフライングVを気に入っていたため、そのイメージで同様にコリーナで作られたこのギターを入手したとのことです(上記出典ではアルバム『LOOSE』のレコーディング時にフライングVを使ったとコメントされていますが当時の専門誌や『LOOSE』の歌詞カード内の使用ギター・クレジットにも一切登場しないためギターテックの記憶違いのようです)

当時、松本さんのソロシングル「THE CHANGING」のMVで使用された後は使用されることはありませんでしたが、2016年のソロライブ「Tak Matsumoto Tour 2016 -The Voyage-」のオープニングナンバーで久しぶりに使用されました。

基本的には(外観上は)オリジナルで使用しているようですが、ネックのみ「異常に太かった」ため削っているそうです。私も1990年代後半に販売されたコリーナのフューチュラ(ギブソン製のリイシュー)を弾いたことがありますが、ネックが異常に太かったのを覚えています。

ちなみにこの個体は「その後の調査により、メーカー不詳のレプリカ・モデルと判明(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年8月号 P.12)」とされていますが…そこはギブソン社のエンドーサーなので…といったところですね(笑)

番外編:Orville LPS 56 #611167

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.156

ギブソン直系の国産ブランド「オービル」の大手楽器店オリジナルのP-90仕様のゴールド・トップで、B'zのアルバム『SURVIVE』のレコーディングでメインギターだった1956年製ゴールド・トップ と外観上はほぼ同様の1本です。

当時の広告を載せておきます。

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』1997年2月号内広告

B'zのシングル「Calling」のMVの演出でびしょ濡れにされていたのはこのギターで(さすがにヴィンテージ・レスポールを濡らすのは抵抗ありますよね)、下の写真のようになぜかSURVIVEのオフィシャルバンドスコアでは1956年製ゴールド・トップ として紹介されていました。

写真:1998年発行 ジェイロックマガジン社『B'z/SURVIVE オフィシャルバンドスコア』P.24

おわりに

今回は1990年代に入手したギブソン製ギターについてまとめました。これ以外にヴィンテージのレスポールを3本入手していますが、改めてまとめてみると意外と少ないですね。

また、当時はあまり好みではなかったとされるギターが後のシグネチャー・モデルの原型になっていたり、オリジナルを入手して使用するようになるのは興味深いところです。

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