今回は松本さん所有の1991年製ゴールド・トップ#1-5283(以下「#1-5283」)のブリッジ (ABR-1)について語ります。
以前の記事 でも触れましたが、#1-5283のブリッジは1994年~2008年の再登場前まではゴトー製のABR-1タイプが搭載されています(現在はギブソン純正ABR-1に戻されています)。
このゴトー製ブリッジについては専門誌でも言及されたことはなく、私自身も所有する1991年製ゴールド・トップを松本さんと同仕様にモディファイしていただいた際に教えていただきました(当時既に生産完了していたため探すのに苦労しました…)。
幸運にも予備を含めて2本入手することができたので、1990年代のギブソン純正ABR-1(デッドストック)と比較してみたいと思います。
松本さん所有機のブリッジ確認はこれまでの専門誌、ライブ映像、そして2018年開催の「B'z 30th Year Exhibition "SCENES" 1988-2018」(以下「エキシビション」)の会場で肉眼で確認できた内容をまとめていますが、一部に個人的推測もありますので誤報もあると思いますがご容赦ください。
目次
ゴトー製ABR-1タイプ
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1998年6月号 P.18
写真は「B'z LIVE-GYM '98 "SURVIVE"」時に撮影されたものです。
見慣れたギブソン純正ABR-1と似ているものの、何となく違うのが分かると思います。
ABR-1比較
本体表面
ゴトー製の特徴は下記の通りです。
ゴトー製ABR-1タイプの特徴
- 1. サドルを固定するリテイナーなし
- 2. ブリッジ本体にサドル・スクリュー嵌め込み用の欠けなし
- 3. ブリッジポスト径が大きい
- 4. 4弦のサドルがギブソン純正品とは逆向きにセット
- 5. サドルに軽く溝切りあり
- 6. サドル・スクリュー頭の厚みが薄め
1.は共振によるビビりが発生しないメリットがあります(ギブソン純正も対策は可能)。
2.は弦の張力によるブリッジ本体の歪みに比較的強いとされています。
3.はゴトー製がミリサイズ (4mm)、ギブソン純正が少し細めのインチサイズです。ちなみにゴトー製ABR-1タイプは本体のマウント用の穴径がタイトで、ブリッジポストの取付け位置精度が甘いときちんとマウントできない場合があるため現行品"GE104B"では穴径が大きめに変更されています。
4.は向きを変えることは可能ですが、一見してギブソン純正と違うと認識できます。
5.はブリッジ取付け位置がセンターずれしているとギブソン純正のように溝切り位置の調整ができないので、結果的にデメリットとも言えます(ちなみに私の所有する1991年製ゴールド・トップはセンターずれしていたのでリフィニッシュ時に修正しています)。
6.も一見してギブソン純正と違うと認識できます。ちなみにゴトー製のサドルは面取りされているので、個人的には右手をブリッジに乗せた時の感触がギブソン純正よりも好みです。
後ろから見ると比較的似ていますがこちらの写真の方が両端の穴径の違いが分かりやすいと思います。
本体裏面
裏面の違いはロゴくらいです。"GOTOH"のロゴが現在のものとは違います。
ブリッジポスト&サムナット
前述の通りゴトー製の方がポスト径が大きいです。
ギブソン純正ABR-1 (withゴトー製ポスト)
写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2018年4月号 P.62
写真は「B'z LIVE-GYM 2017-2018 "LIVE DINOSAUR"」時に撮影されたものです。
本体がギブソン純正ABR-1に戻されていますが、ブリッジポストはゴトー製を流用していているため本体のマウント用穴径を広げているようです(エキシビションでも確認済)。