【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~TAK CY編~

2021年5月10日発売の『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』(以下「ギターブック」)で新たに判明した内容を含めて更新しました。

今回は1999年に発表されたギブソン製の初代シグネチャー・モデル"Gibson Custom Shop Tak Matsumoto Les Paul Canary Yellow"についてまとめていきます。

これまでの専門誌、ライブ映像、そして2018年開催の「B'z 30th Year Exhibition "SCENES" 1988-2018」(以下「エキシビション」)の会場で肉眼で確認できた内容をまとめていますが、一部に個人的推測もありますので誤報もあると思いますがご容赦ください。

あらまし

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1999年8月号内広告

上の写真は発売時の広告ですが見開きでコメント入りの物は比較的珍しいと思います。1999年発表当時は日本人初、世界でも5人目のシグネチャー・モデルということで大きな話題となりました。

このモデルについては同年発表の松本さんのソロアルバム『KNOCKIN' "T" AROUND』発売時のインタビューで語られていて、その後B'zのシングル「ギリギリchop」のMVでその姿を現すことになります(実はソロアルバムの歌詞カード内やMVでも登場していますが当時は気付きませんでした…)。

約1年半という歳月を費やして開発されたこのモデルは一番最初に送られてきたのがブルーとレッドのメタリックだった(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1999年8月号 P.18)」ことが松本さん本人から語られている他、黄色でもボディ・バックおよびネック裏がナチュラルカラーのモデルなどが存在していて後年ファンの手に渡ったとされています(大手楽器検索サイトに掲載されたものもあります)。

市販品はカスタムショップ製とナッシュビル製(レギュラー品)が存在し、カスタムショップ製は1999年夏頃から90本限定で販売とされていますが実売本数は100本程度と聞いたことがあります(実際、2000年に都内大手楽器店でシリアルナンバー100番のモデルが販売されているのを見に行きました)。

スペックについては当時の1957年モデルのヒストリック・コレクション(以下「ヒスコレ」)に準じた仕様ながらバインディング・カラー、ネック形状、ピックアップ、ポジション・インレイなどが違い、印象的な黄色のカラーリングはフェラーリ社から色見本を取り寄せて再現したとのことです。

ネック形状は松本さんが語ったところでは1991年製ゴールド・トップと1959年製ヴィンテージの中間を狙ってオーダーしたとのことですが、1991年製ゴールド・トップにはあまり似ておらず1957ヒスコレの形状を薄くしたという印象です。当時松本さんは「思ったよりもネックが少し太いんだけど。その分低音が凄く出る(出典:シンコーミュージック『GiGS』1999年8月号 P.63)」と語っています。

【マニアック談義】1991年製ゴールド・トップと初代TAK CY:数値で見る違い


⇒2021/04/28更新

前述のナチュラル・バックのモデルは映像作品『The true meaning of “Brotherhood”?』のツアーオーディション・シーン(1999年1月6日収録)でも複数本確認されていて、そのうちの一本はソロアルバムの歌詞カード内やMVでも登場した後述の"Prototype #891078" です(下記写真で使われているのはボディの"Tak Matsumoto"シグネチャーの位置から恐らく別個体)。またこの時点では黒いコントロールノブが装着されているのがわかります。

写真:2001年 B-VISION『The true meaning of “Brotherhood”?』EPISODEⅠ Tour Member Audition 2分00秒

TAK Matsumoto Les Paul #TM 002

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1999年10月号 P.52

上の写真は「B'z LIVE-GYM '99 "Brotherhood"(以下『Brotherhoodツアー』)」時に撮影されたものです。キャナリーイエロー(以下「CY」)のモデルはシリアルナンバー”TM 000”がギブソン社、”TM 001”が当時の代理店、そして”TM 002”が松本さんの手に渡りました。ちなみに”TM 001”は2000年代後半の代理店変更に伴って一般市場に放出されていて、ほぼ定価で取引きされていました。

これまでのメインギターだった1991年製ゴールド・トップ#1-5283 (以下「91GT」)と同様にロックピンとバックルガードが装着されている以外(外観上は)オリジナルのようです。ギターテックによると松本さんは現在4本のCYを所有していますが最もネックが太く感じられるのが”TM 002”とのことです。

⇒2021/08/04更新
現在は後述の"TM 035"が"Player's Club IkeBECK"に贈呈され、"TM 037"も松本さんの手元を離れているようです。

当時はダウンチューニングに即座に対応できるようにとの配慮でアーニーボールの”Heavy Bottom”を使用していて(0.10~0.52のセット)、後年ギターテックも「太い弦を使うといいですよ。(中略)同じゲージのものに変えるとローのボトム感が出ると思います(出典:『サウンド・デザイナー』2005年5月号 P.13)」と語っています。

2018年時点での状態をチェック

その後いくつかのモディファイが施されていて、最新の状態はエキシビジョンで確認することができました。

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2018年6月号 P.63

上の写真はエキシビション時に撮影されたものです。外観上の変更点は以下の通りです。

  • ブリッジ取付角度変更
  • ブリッジ交換
  • リフレット
  • ピックアップ換装(Burstbucker Tak Matsumoto Special→Burstbucker New Tak Matsumoto Special)
  • リア・ボリュームノブ交換(エンボス文字→プリント文字)

まずブリッジ取付角度は入手当初と比較してテールピースとほぼ平行に取り付けられているのがわかります。下の写真は同時期に撮影された"TM037"との比較ですが、ほぼ平行に取り付けられた影響で各弦のサドルがブリッジ前方に寄っています。

写真上・下:シンコーミュージック『GiGS』2001年10月号 P.10

またブリッジは2000年代中頃の本体が最も細身でサドルの頂点が鋭角なものに交換されています。

フレットはオリジナルは"Jim Dunlop: #6150"ですが、より背が高く太めのタイプにリフレットされています(エキシビションで確認済)。#6150はやや背が低く幅も中程度なのでこれまでの松本さんの好みとは違うという印象を持っていたので妙に納得してしまいました。ちなみに後年CYは「フレットで苦労した(出典:2006年発行 エイ出版社『ヴィンテージ・ギター vol.7』P.116)」と語っています。

ピックアップはオリジナルは「Burstbucker Tak Matsumoto Special (フロントがタイプ1、リアがタイプ2)」ですが、ギターテックによると「現在はTak Burstと同じものを搭載しています(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.38)」とのことで、以後のシグネイチャーモデルと同様の「Burstbucker New Tak Matsumoto Special (フロントがタイプ2、リアがタイプ3)」に換装されています。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.33

最後にリア・ボリュームノブがエンボス文字からプリント文字のものに交換されています。これは一時リア・ボリュームノブに滑り止めを巻いていた時代に交換されたもので(現在滑り止めは透明の樹脂製が装着されているようです)、後述の”TM 037”でも確認できることから所有する4本全て同様と考えられます。

写真:シンコーミュージック『GiGS』2001年10月号 P.10

TAK Matsumoto Les Paul #TM 007

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2000年10月号 P.38

Brotherhoodツアーで前述の”TM 002”と共にメインギターとして登場した1本で、CYは思ったよりネックが太かったとのことでサウンドへの影響を確認するためにネックを削られたギターです。結果としてネック・グリップは当時の松本さんが理想とする形状になったそうですがサウンドが変化してしまい、以降永遠のサブギターとなってしまった悲劇の1本です。

削られたのは恐らく「B'z LIVE-GYM Pleasure 2000 -juice-(以下『juiceツアー』)」の頃で当時の専門誌に”TM 007”だけネック裏の仕上げが違うことが示唆されていましたが、ギターブックを確認すると他のCYとの違いは見られませんでした。ただし光の反射でネック裏の削りが他のCYと違うので薄めになっているのは確かなようです。

サウンドは所有する4本のCYの中で最も低音が出ないとの事です。ちなみに91GT は「#007よりさらに低音が細く感じます(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.39)」とのことで、私も両方のモデルを所有していますがこの感覚は納得です。

ピックアップはスラグ側が"TM 002"よりも錆びついていることから「オリジナルのTakスペシャル (フロントがタイプ1、リアがタイプ2)」のままのようです。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.35

TAK Matsumoto Les Paul #TM 035

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2000年10月号 P.38

juiceツアー時に追加で入手したギターです。ツアー序盤は半音下げチューニング用のメインギターとして使用されていましたが高音の出方が今ひとつとのことで以降半音下げ用のサブギターになったとのことです。レコーディングでも使われていないようで印象の薄い1本だと思います。

その後"Player's Club IkeBECK"に贈呈されて現在に至っています。

TAK Matsumoto Les Paul #TM 037

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2001年10月号 P.45

これもjuiceツアー時に追加で入手したギターで、松本さんのソロアルバム『西辺来龍 DRAGON FROM THE WEST』のジャケットやB'zのアルバム『BIG MACHINE』の歌詞カード内の写真でも使用されています。

ギターテックによると「サウンドは#035よりは#002に近い感じでした(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.38)」とのことで、そのためか”TM 002”と並んでよく使用されていて「B'z LIVE-GYM 2003 "BIG MACHINE"」まで使用されました。

ギターブックによると既に松本さんの手元を離れているようで、現在どこにあるのか気になるところです。

TAK Matsumoto Les Paul #TM 097

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.153

2005年の全所有ギター紹介時に掲載されていた1本で、ギターブックでシリアルナンバーが判明しました。自宅用ということでロックピンすら取り付けられていないのが特徴です。

ちなみにCYのトラスロッドカバーは形状違いで2種類あって、"TM 097"のトラスロッドカバーは主にレギュラー品に採用されたタイプです。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.35

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #891080

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1999年10月号 P.52

1998年12月に完成したプロトタイプで、カスタムショップ製3本、ナッシュビル製(レギュラー品)3本の合計6本の内の1本です。シグネチャー・モデル発表時の広告やB'zのシングル「ギリギリchop」のMVで使用された他、Brotherhoodツアーでも使用されているのがライブ映像で確認できます。

市販品との外観の違いはトグルスイッチプレートが通常の文字ありのものを使用している点です。また広告やMVではトラスロッドカバーがレギュラー品のレスポールと同様の2プライのものが使用されているのが確認できます。映像作品からもわかるように市販品とはサウンドが若干違っていてドンシャリ感があるのが特徴です。

ちなみに本記事冒頭の見開き広告左側で松本さんが手にしているのがこのプロトタイプ "#891080"で、広告右側の個体は市販品の"TM 006"です。"TM 006"は当時の専門誌の詳細解説で使用された後に一般市場に流通していて、これまでに確認できたカスタムショップ製CYでは最重量の内の一本です。

また、よく見るとテールピースとコントロールノブの位置関係にも違いがあります(下の写真参照)。プロトタイプは1998年製作、市販品は1999年製作ですので当時のヒスコレのモデルチェンジに準拠したものと推察されます(これ以外にも違いが確認できますがここでは割愛します)。

写真:シンコーミュージック『GiGS』1999年11月号 P.27

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #001

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.153

現在は横浜アリーナに展示されているプロトタイプです。

上記出典では市販品として紹介されていましたが、前述の"Prototype #891080"と同様にテールピースとコントロールノブの位置関係が市販品とは違うのでプロトタイプであることがわかります。

またボディの"Tak Matsumoto"シグネチャーの位置やテールピース・スタッドのマイナス溝の向き、ポールピースが出荷時のように綺麗に横一列に設定されているなどの特徴が横浜アリーナの展示品と一致することから"Prototype #001"と判断しました。

ポールピースの設定から恐らく使用されたことはないと推察されます(松本さんが使用するギターでポールピースが綺麗に横一列に設定されている個体はないと思います)。

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #891078

写真:1999年発行 ジェイロックマガジン社『TAK MATSUMOTO KNOCKIN' "T" AROUND OFFICIAL BAND SCORE』 P.13

松本さんのソロアルバム『KNOCKIN' "T" AROUND』の歌詞カードやアルバム・プロモーション映像などで確認できるプロトタイプです。

上の写真からわかるようにナチュラル・バックが特徴で、映像作品『The true meaning of "Brotherhood"?』のツアーオーディション・シーン(1999年1月6日収録)でも一瞬だけですが登場していて(オーディションの演奏シーンで使われているのはボディの"Tak Matsumoto"シグネチャーの位置から恐らく別個体)、収録時点では黒いコントロールノブが装着されているのがわかります。

※前述のようにナチュラル・バックのモデルは複数本確認されていますが"Prototype #891078"は下の写真のように12フレットのインレイの模様が極めて特徴的なため容易に見分けることができます。またトグルスイッチノブがアイボリーであることもわかります。

写真:1999年発行 ジェイロックマガジン社『TAK MATSUMOTO KNOCKIN' "T" AROUND OFFICIAL BAND SCORE』 P.5

この個体はその後一般市場に放出されていて、その際にシリアルナンバーが判明しました。

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #TAK 001

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2000年10月号 P.38

juiceツアーで登場した1本で松本さんのオーダーで製作されたものです。

ロック式トレモロユニットとサスティナーを搭載していて、トレモロユニットは当初は"Ibanez: LO-TRS TREMII"が搭載されていてサスティナー用のスイッチの影響なのか、コントロールノブが3個になっているのも特徴です。

またギターブックに掲載のネック裏の写真を見るとやや不自然な艶消し塗装となっているので何かしら手を加えている可能性がありそうです。

ロック式トレモロに合わせて通常のレスポールとは違う設計になっていることやザグりの影響から見た目ほどレスポールのサウンドには近くないとのことです。

ちなみにロック式トレモロユニットは2005年時点で"GOTOH: GE1996T"に換装されていて現在に至ります。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.36

⇒2022/02/16更新
2005年の全所有ギター紹介時点でフレットレスにモディファイされているようです。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.36

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #TAK 003

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.153

前述の"TAK 001"と同様にロック式トレモロユニットが搭載されたバックアップ機ですが、こちらはサスティナーが搭載されていないこととコントロールノブが通常のレスポールと同様に4個になっているなどの違いがあります。

TAK Matsumoto Les Paul Prototype #91959503 (with Piezo P.U.)

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2005年11月号 P.153

ピエゾピックアップが搭載されたプロトタイプで、ギターテックによると開発のかなり早い段階でギブソン社から送られてきたそうです。

通常はリア・トーンとなる位置には恐らくピエゾピックアップ切替え用と思われるセレクタスイッチが配置されている他、ブリッジにもナッシュビルタイプが採用されるなど(ここはピエゾピックアップ内蔵の兼ね合いでしょうか…)プロトタイプならではと思わせる仕様を見ることができます。

ギターテックによると「ギター自体のサウンドは思ったほど良くはなかったのであまり使用していません。たまに思い出したようにRec時にクリーンのアルペジオ等で使う事がありました(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 101』P.38)」とのことです。

Tak Matsumoto Les Paul Standard Canary Yellow Prototype 2017 #1

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2019年11月号 P.247

2018年にB'zデビュー30周年とエキシビション開催を記念して限定発売されたリイシュー版CYのプロトタイプで、初登場は2017年末のTV出演です。一見すると外観上はよく似ているものの当時の松本さんの嗜好に合わせて仕様変更されています。

まず大きな違いとして挙げられるのが重量で、現在の水準としてはやや重かった初代CYより「軽量に抑えることも目標だった(出典:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.37)」そうです。またギターブックによると本機は市販品と違いチェンバード構造ではないとのことで、確かに過去の専門誌では「軽量化」との記載はあるもののチェンバード構造との記載はありませんでした。

ピックアップはフロント・リア共にリバースゼブラのカスタムバッカーが採用された他、ゴールドのトップハットノブやクルーソンペグなど初代CYとリイシュー版の外観上の違いがはっきりわかる仕様となっているので(この辺は当時のヒスコレの仕様ですね)初登場時点で気付かれた方も多かったと思います。

その他ブリッジには「ワイヤーありのABR-1」、フレットは幅広かつ背の高いタイプの採用など一貫した松本さんの嗜好が反映されています。

近年使用頻度が下がっているシグネチャー・モデルではありますが、そのような状況下においてこのリイシュー版は半音下げなどの変則チューニングを任されているモデルという印象があります。

※現在松本さんの手元にはこの他にチェンバード構造のCYが2本あり、そちらはギターブックのみに掲載のため割愛しました。興味のある方は是非ギターブックをご確認ください。

おわりに

今回は"Gibson Custom Shop Tak Matsumoto Les Paul Canary Yellow"についてまとめました。鮮やかなキャナリーイエローのカラーリングはファンの間でも賛否あるようですが1999年~2001年頃までのへヴィー路線にマッチしたサウンドはこのモデルならではといった感じで、個人的には最も好みのシグネチャー・モデルです。

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