今回は松本さんが所有するサドウスキー製ギターについてまとめていきます。
これまでの専門誌、ライブ映像で確認できた内容をまとめていますが、一部に個人的推測もありますので誤報もあると思いますがご容赦ください。
なお、各モデルの表記が専門誌とは異なりますがそれぞれの個体の特徴または同仕様の個体の認定書を基にしていますのでご了承ください。
目次
Sadowsky Guitars Strat Type (Custom Order) #M956
写真:シンコーミュージック『GiGS』2011年9月号 P.36
「B'z LIVE-GYM 2006 "MONSTER'S GARAGE"(以下『MONSTER'S GARAGEツアー』)」で初登場した1本で2006年に入手したとされていて、その後B'zのアルバム『C'mon』のレコーディングでも使用されています。黒いボディにミントグリーンのピックガードが印象的で、以前から所有している1966年製のラージヘッドのストラトキャスター を連想させます。
シリアルナンバーはM956で、Mで始まることから当時販売されていた「メトロライン」をベースとしたカスタムオーダー品と推察されます。主な仕様は後述の2本と同様と推察されますのでそちらを参照してください。
Sadowsky Guitars Strat Type (Custom Order) #M1113
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年1月号 P.34
MONTER'S GARAGEツアーでは#M956のサブギターとして用意されていて、#M956と同様に2006年に入手したようです。B'zのアルバム『ACTION』のレコーディングや「B'z LIVE-GYM 2008 -ACTION-」で使用された後、近年では松本さんとダニエル・ホー氏のプロジェクト「TAK MATSUMOTO & DANIEL HO『Electric Island, Acoustic Sea』」のレコーディングでも使用されました。
シリアルナンバーはM1113で、ピックガードにホワイトパール4プライが採用されている以外は前述の#M956と同仕様と推察されます。
ギターテックによるとネック・グリップを当時メインで使用していた"TAK Matsumoto Double Cutaway"に近づけてオーダーしたとのことで、YAMAHAのMG-Mシリーズを始めとするこれまでのシグネイチャーモデルと同様に松本さんのネック・グリップへの拘りは相当なものであることが窺えます。
ちなみにかつて一部の専門誌でボディ・バックにバッテリーボックスが作られていると記載されたことがありますが、実際はノイズキャンセルシステム調整用の貫通穴です。
Sadowsky Guitars TYO Classic Edge Strat #6029
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年1月号 P.34
『ACTION』のレコーディングや「B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-」などで使用された1本でシリアルナンバーは6029です。
前述の2本と違い"Sadowsky Guitars TYO"ブランドのオーダー品として製作されたギターで、ご存じの方もいらっしゃると思いますが"Sadowsky Guitars TYO"は一般の方でもオーダー可能で当時#6029と同仕様のギターが主に大手楽器店のオーダーにより複数本製作されており、そのうちの1本は私の手元にあります(当時は全オーダー品が代理店のホームページに掲載されており、その中には#6029もありました)。ちなみに前述の#M1113をモチーフとしたオーダー品が存在することも確認されています。
松本さんは「すごく今風な感じがしてすごく弾きやすいし、クオリティが高いですよね。音のバランスもとてもいい(出典:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年1月号 P.34)」と語っており、複数の映像作品からもわかるように高域に特徴のあるタイトなサウンドが印象的で、フェンダーとは違った魅力のあるギターです(個人的にはクリーントーンのカッティングが似合うモデルだと思っています)。ちなみに生音の時点で「明確に」違いがわかるくらい特徴的なサウンドであることを実機所有者として付け加えておきます。
主な仕様
現在は"Sadowsky Guitars TYO"のギターは製作されておらず、代理店のホームページからも削除されているのでなかなか全容を知ることが難しくなっていますので参考として当時のオーダーシートと認定書を基に主な仕様を記載します。
- ボディ材:アルダー2ピース
- ネック材:メイプル
- ネック形状:Sadowskyスタンダード (1フレット:20.8mm → 12フレット:23.3mm)
- 指板材:モラード
- 指板形状、フレット数:9.5インチ・アール、22フレット
- ナット:Wilkaloid
- トラスロッド調整:スポークホイール・アジャスター
- ペグ:GOTOH製クルーソンタイプ (スタッガード)
- ストリングリテイナー:なし
- ブリッジ:Sadowsky製Vintageトレモロ (6点支持、弦ピッチ:10.8mm)
- ブリッジ・サドル:ブロックタイプ
- ピックガード:ホワイトパール4プライ
- フロントPU:Sadowsky製シングルコイル
- ミドルPU:Sadowsky製シングルコイル
- リアPU:Lollar製Imperial Humbucker
- 塗装:ポリウレタン
- ボディ・カラー:Dakota Red
- ノイズキャンセルシステム (オプション):Suhr製Back Plate Silent Single Coil (BPSSC)
基本的な仕様はストラトキャスターを踏襲したものになっていますが、9.5インチ・アール指板や弦ピッチが10.8mmの6点支持シンクロナイズド・トレモロユニット、スタッガード・ペグ採用によるストリングリテイナーの排除、さらにはノイズキャンセルシステムの採用など現代的な仕様をふんだんに取り入れていることがわかります。ちなみにネックの厚みはギブソン製シグネイチャーモデルとほぼ同等ながら幅がやや狭いので握り心地はやや細く感じると思います。
また、#6029の大きな特徴としてリアピックアップに"Lollar: Imperial Humbucker"が搭載されている点が挙げられますが、当時の専門誌や代理店のホームページにも明確に記載されていたことや外観上の特徴から、赤のTAK DCプロト #9 をはじめとして実はいくつかのギブソン製シグネチャー・モデルがこのピックアップに換装されていると気付いた、あるいは確信した方もいらっしゃると思います。
おわりに
今回はサドウスキー製ギターについてまとめました。ストラトキャスターとはかなり違うサウンドは好みの分かれるところだと思いますが、現代的な仕様のおかげで弾きやすくメンテナンス性にも優れたギターですし、松本さん自身も近年でも使用していることがこのギターだからこそ出せるサウンドがあることを物語っていると思います。