今回は「B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"(以下『BUZZ!!ツアー』)」のサウンドシステムについてまとめていきます。
よく知られている専門誌とは別の画像を中心にまとめています。一部アナログ機材はパラメータがわかる画像を用意しましたので参考にしていただきたいと思います。
目次
メインラック&フットボード
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.255
左側ラック、右側ラック、フットボードの順に見ていきます。
左側ラック
- JUICE GOOSE: RACK POWER-200 (パワー・ディストリビューション・センター)
- Eventide: H3000-SE (ウルトラハーモナイザー:リバーブ用)
- Eventide: H3000-D/SX (ウルトラハーモナイザー、2台:デチューン用、ディレイ用)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 3+SE (チューブプリアンプ:クランチ、ディストーション用)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 3+ (チューブプリアンプ:クリーン用)
- ROCKMAN: XPR (プログラマブル・マルチエフェクター)
- t.c. electronic: TC 1140 HS (パラメトリックイコライザー)
- t.c. electronic: TC 1210 (ステレオコーラス/フランジャー)
- ROCKTRON: HUSH IICX (ノイズリダクション・システム)
- CAD: CGM-2 CHAMP (ステレオコンプレッサー)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 4x4 (オーディオコントローラー、3台)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース:コンパクトエフェクター用インターフェースと空間系用のDual Stereo Line Mixer)
右側ラック
- JUICE GOOSE: RACK POWER-200 (パワー・ディストリビューション・センター)
- KORG: DTR-1 (デジタルチューナー)
- Ex-pro: PRO-1 (ワイヤレスレシーバー、4台)
- UPTOWN: flash 4x1 Stereo Switcher (ラインセレクター)
- Ex-pro: 型番不明 (アンテナディバイダー)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース)
- EMB AUDIO: REMOTE WAH (リモートワウシステム)
- Palmer: PDI-05 (ステレオスピーカーシミュレーター)
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース:スピーカーケーブルが確認できることからアンプ関連用)
- VHT: Classic (パワーアンプ、2台)
フットボード
- CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: RS-10 (MIDIフットコントローラ+エキスパンダー)
- BOSS: FV-200 (ボリュームペダル)
- DigiTech: Whammy WH-1 (ピッチシフトペダル)
- BOSS: SD-1 (オーバードライブ:ソロ用ブースター)
- KORG: XVP-10 (エクスプレッションペダル:VCA制御用)
依然として"ROCKMAN: XPR"を中心とした機材構成ですが、注目すべきはXPRが電源スイッチに「I/O表記なし」のものから「I/O表記あり」のものに入れ替えられていることです。
ギターテックによると「B'z LIVE-GYM '91~'92 "IN THE LIFE"」ツアー中にXPRを2台追加購入していて、そのうちの1台はレコーディング用になっていたとのことで、この時の経験が「後々どんな機材でも個体差があるという戒めになるのだが(出典:2004年発行 House Of Strings出版事業室『House Of Strings Magazine Vol. 01』P.7)」とのことでXPRの個体差について次のように語っています。
レコーディングで使用していたものはその時ライブで使用していたものより新しい製造年のもので、後にスタジオで聞き比べると明らかに音が硬く感じられ低音に深みのないものだった。逆にライブで使用していたものの音は角が取れふくよかな低音を持っていた。
出典:2004年発行 House Of Strings出版事業室『House Of Strings Magazine Vol. 01』P.7
上記のコメントから個体差を考慮した上でBUZZ!!ツアーではXPRが入れ替えられていると思われ、当時の音作りや好みなどに何らかの変化があった可能性があります。
スピーカー・キャビネット&マイキング
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.255
スピーカー・キャビネットは以前から使用している「MESA/Boogie: 4x12 Recto Standard Slant Guitar Cabinet Armor (英国製セレッション"Vintage 30"搭載)」ですが、BUZZ!!ツアーでは明確にマイキングを変えているようで"SENNHEISER: MD421"と"SHURE: SM58"が使用されています。
ちなみに写真左から2番目上段の"Fender: BLUES DELUXE"もこのツアーでは使用されています。後述の解説文でも登場しますので確認してください。
ステージ足元
写真:シンコーミュージック『GiGS』1995年11月号 P.14
松本さんの足元にはワウペダルとボリュームペダルがセットされていて、下記のものを使用しています。
- JEN: CRY BABY SUPER (ワウペダル)
- BOSS: FV-300L (エクスプレッションペダル:ボリュームペダルとして使用)
⇒2021/2/28追記
JENのワウはソロ時のノイズの原因になっているとの疑いから「B'z LIVE-GYM '91~'92 "IN THE LIFE"」中に複数個購入して検証し始めたのをきっかけとして、以降時期によって違う個体を使用しているのが各ツアーの機材写真からわかります。
システム構成図&解説(by CAJ)
画像:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.255
これまでの専門誌でも簡易的なシステム構成図は掲載されたことがありますが詳細図の掲載はBUZZ!!ツアーが初で、設計されたカスタム・オーディオ・ジャパン(以下「CAJ」)の方が解説しているのも貴重です。
⇒2021/11/11更新
システム構成図では省略されている"FENDER: BLUES DELUXE"は1996年開催の「B'z LIVE-GYM '96 "spirit LOOSE"」と同様の使用方法であるとするとパルマーのスピーカーシミュレーターと組み合わせて使用している可能性が高く、マイキングされていないのはそのためと推察されます。詳細は下記記事中のシステム構成図を参照してください。

以下の解説文はCAJの方が起こしたものから冗長な部分を除いたものです。システムが大がかりなので大きく2つに分けています。
ギター~プリアンプ(一部機材のパラメータ公開!)
画像:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.256
注)この解説文では"BOSS OD-1"なっていますが、正しくは"SD-1"です。
CAE 3+SE、3+のパラメータ公開
少し見づらいですがパラメータがわかる画像を用意しましたので参考にしてください。前述のように上段の"CAE 3+SE"がクランチとディストーション用、下段の"CAE 3+"がクリーントーン用です。
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.256
t.c. electronic TC1140 HSのパラメータ公開
松本さんのロックマン・サウンドを再現する上でイコライジングは重要な要素となることが近年知られるようになりましたが、パラメータがはっきりわかる画像はこのツアーのみかと思いますので是非参考にしてください。
写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.256
プリアンプ~空間系~スピーカー・キャビネット
画像:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.256
おわりに
今回は「B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"」のサウンドシステムについてまとめました。
余談ですがCAE 4x4は当初同時使用は2台までの制約があったものを「BUZZ!!」のシステム構築にあたって同時に3台使う必要が生じたため「アメリカのボブ・ブラッドショウに連絡をして3台同時に使用できるまったく新しいロムをデザインしてもらった(出典:リットーミュージック『ギター・マガジン』1995年10月号 P.256)」そうです。
当時世界中のトップギタリストが使用していたCAE 4x4の拡張性がB'z発で実現したところに当時の勢いを感じます。