今回は「B'z LIVE-GYM '90~'91 “RISKY”」のサウンドシステムについてまとめていきます。
当時の専門誌には写真と機器の機能についての記載のみで(品番は記載されていませんでしたので写真から確認しました)詳細解説はありませんでしたが、このツアーから導入された「ブラッドショウ・スイッチング・システム」を中枢とした大まかな方向性は前回紹介した「B’z LIVE-GYM ’91~’92 “IN THE LIFE”」(以下「IN THE LIFEツアー」)期と変わりませんので、そちらと見比べていただけたらと思います。
⇒2020/01/24更新
システム構成図が存在しましたので追加しました。ただし、図面内の機材の型番やメーカー名にはいくつか間違いが見受けられますので「メインラック&スピーカー・キャビネット」内の情報を参照してください。
⇒2020/03/30更新
また「B'z LIVE-GYM Pleasure '91(以下『Pleasure '91ツアー』)」のシステム構成図も併せて載せましたので参考にしてください。
目次
メインラック&スピーカー・キャビネット
写真:シンコーミュージック『GiGS』1991年1月号 P.52
ラックの中身は上から順に下記の通りです。
- FURMAN: PL-PLUS (パワーコンディショナー&ライトモジュール)
- Ex-pro: PRO-1 (ワイヤレスレシーバー)
- Ex-pro: PRO-1 (ワイヤレスレシーバー)
- ROCKTRON: 300A (コンプレッサー/リミッター)
- SR&D: ROCKMAN XPR (プログラマブル・マルチエフェクター)
- SR&D: ROCKMAN SUSTAINOR (マルチエフェクター)
- SR&D: ROCKMAN STEREO CHORUS/DELAY (コーラス/ディレイ)
- ROCKTRON: RX20 (HUSH II内蔵エキサイター/イメージャー)
- ROCKTRON: RS8-18R (ブラッドショウ・スイッチング・システム)
- ROCKTRON: G612 (ラインミキサー)
- YAMAHA: FX900 (サイマル・エフェクトプロセッサー:コーラス用)
- YAMAHA: SPX90II (デジタルサウンドプロセッサー)
- YAMAHA: SPX900 (プロフェッショナル・マルチエフェクトプロセッサー)
- YAMAHA: Q2031A (グラフィックイコライザー)
- FURMAN: AR-117 (パワーコンディショナー)
- VHT: 2150 (パワーアンプ)
IN THE LIFEツアーの機材 と比較してセットアップされている機器の違いこそありますが、システムの大枠はほぼ同じであることがわかると思います。ちなみに"SR&D: ROCKMAN SUSTAINOR"について『BREAK THROUGH』のオフィシャル・バンドスコア内のインタビューではレコーディング用と語っていましたが、インプットにケーブルが接続されていることから何らかの形で使用されていると考えられます。
⇒後述のシステム構成図からクリーントーンで使用してるようです。また、写真では見づらいですが機器正面の商品名が青文字でプリントされていることからMODEL 100または100Aであることがわかります。
(一部で松本さんはSUSTAINORの中で最もレアなMODEL 200 Double ICを使用していると言われているようですが、レコーディング・ツアー共に同じ機材を使用していた『IN THE LIFE』レコーディング以前の機材写真でMODEL 200 Double ICは現在に至るまで確認されていません。恐らく確たる証拠がないのをいいことに中古市場での価格高騰のネタとして拡散したと考えられます。松本さん関連は出元不明の情報も多いので出元を十分確認の上で判断する必要があります。)
スピーカー・キャビネットは以前から使用しているメサ・ブギー製の4×12タイプですが、このツアーから2台に変更されています。一見するとIN THE LIFEツアー時 と同じに見えますが、キャビネット前のマイクの種類と本数が違うのがわかります。
フットスイッチ
写真:シンコーミュージック『GiGS』1991年1月号 P.53
こちらはギターテックが操作するフットスイッチとボリューム・ペダルで、下記のものを使用しています。
- ROCKTRON: RS8-18F (ブラッドショウ・スイッチング・システム)
- BOSS: FV-200 (ボリュームペダル)
- YAMAHA: MV802 (ラインミキサー)
ステージ足元
写真:シンコーミュージック『GiGS』1991年1月号 P.52
松本さんの足元にはワウペダルとボリュームペダルがセットされていて、下記のものを使用しています。
- JEN: CRY BABY SUPER (ワウペダル)
- YAMAHA: VP-50ST (ボリュームペダル)
システム構成図
画像:1991年発行 八曜社『B'z LIVE-GYM Pleasure '91 ツアーパンフレット』P.36
IN THE LIFEツアー時 と同様のシステム構成・接続になっていることがわかり、RISKYツアーの時点で「ブラッドショウ・スイッチング・システム」使用期の根幹は完成しているのがわかります。
⇒2020/03/30更新
ちなみにPleasure '91ツアーでは赤枠囲みのように「t.c. electronic: TC 1140 (パラメトリックイコライザー)」と「Eventide: H3000-SE (ウルトラハーモナイザー) 」が初導入されていて、その後のツアー機材でも度々登場しています。また"SUSTAINOR"はPleasure '91ツアーを最後に使用された形跡は無いようです。
おわりに
今回は「B'z LIVE-GYM '90~'91 “RISKY”」のサウンドシステムについてまとめました。これ以降、機器の入れ替えこそありますが、システムの大まかな方向性は"ROCKMAN XPR"が外される1998年まで同じと言える時代が続きます。