【B’z機材】Tak松本サウンドシステム~spirit LOOSEツアー編~

今回は「B'z LIVE-GYM '96 "spirit LOOSE"」(以下「spirit LOOSEツアー」)のサウンドシステムについてまとめていきます。

一部アナログ機材はパラメータがわかる画像を用意しましたので参考にしていただきたいと思います。

アンプ&メインラック&フットボード

写真:宝島社『BANDやろうぜ』1996年9月号 P.21

アンプ群、左側ラック、右側ラックの順に見ていきます。

アンプ群

  • FENDER: BLUES DELUXE
  • PEAVEY: 5150 (アンプヘッド:バッキング用)
  • PEAVEY: 5150 (アンプヘッド:ソロ用)
  • THD: Hot Plate 8Ω (アッテネーター、2台) ←5150アンプの裏に配置(下の写真参照)

写真:宝島社『BANDやろうぜ』1996年9月号 P.21

左側ラック

  • JUICE GOOSE: RACK POWER-200 (パワー・ディストリビューション・センター)
  • Eventide: GTR 4000 (ウルトラハーモナイザー:リバーブ用)
  • Eventide: H3000-D/SX (ウルトラハーモナイザー、2台:デチューン用、ディレイ用)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 3+SE (チューブプリアンプ:クランチ、ディストーション用)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 3+ (チューブプリアンプ:クリーン用)
  • SR&D: ROCKMAN XPR (プログラマブル・マルチエフェクター)
  • SR&D: ROCKMAN PGE 2 (プログラマブル・グラフィックイコライザー)
  • t.c. electronic: TC 1210 (ステレオコーラス/フランジャー)
  • ROCKTRON: HUSH IICX (ノイズリダクション・システム)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: AMP SELECTOR (4チャンネル・アンプセレクター)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: 4x4 (オーディオコントローラー、3台)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース:コンパクトエフェクター用インターフェースと空間系用のDual Stereo Line Mixer)

右側ラック

  • JUICE GOOSE: RACK POWER-200 (パワー・ディストリビューション・センター)
  • UPTOWN: flash 4x1 Stereo Switcher (ラインセレクター)
  • KORG: DTR-1 (デジタルチューナー)
  • SAMSON: DA-5 (アンテナ・ディストリビューション・アンプ)
  • SAMSON: UR-5A (ワイヤレスレシーバー、4台)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース)
  • EMB AUDIO: REMOTE WAH (リモートワウシステム、今ツアーは未使用)
  • Palmer: PDI-05 (ステレオスピーカーシミュレーター)
  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: System Interface (特注の各種インターフェース:スピーカーケーブルが確認できることからアンプ関連用)
  • VHT: Classic (パワーアンプ、2台)

最後にラック手前のフットボードに設置された機材です(2つのコルグのペダルのうち右側以降は稲葉さん用機材のため省略しました)。

  • CUSTOM AUDIO ELECTRONICS: RS-10 (MIDIフットコントローラ+エキスパンダー)
  • BOSS: FV-200 (ボリュームペダル)
  • DigiTech: Whammy WH-1 (ピッチシフトペダル)
  • BOSS: SD-1 (オーバードライブ:ソロ用ブースター)
  • KORG: XVP-10 (エクスプレッションペダル:VCA制御用)

基本的なシステムは「B'z LIVE-GYM Pleasure '95 "BUZZ!!"(以下『BUZZ!!ツアー』)」を踏襲していますが、本ツアーから「PEAVEY: 5150 Amp Head(以下『5150アンプ』)」が2台導入されていて"SR&D: ROCKMAN XPR"とのダブルメインと言える機材構成になっています。

またBUZZ!!ツアーに引き続き"FENDER: BLUES DELUXE"がセットされていて、後述のシステム構成図の通りパルマーのスピーカーシミュレーターと組み合わせて使用しているようで、前ツアー時と同様にマイキングされていないのはそのためと推察されます。

⇒2022/02/12更新
後年ギターテックが語ったところでは「バッキングは5150でソロはXPR、クリーントーンはCAEといった使い方をしていました(出典:2003年発行 エムアールエム『music freak magazine Vol. 98』P.48)」とのことです。

スピーカー・キャビネット

写真:シンコーミュージック『GiGS』1996年9月号 P.25

スピーカー・キャビネットは「PEAVEY: 5150 Enclosures(以下『5150キャビ』)」に変更されています(手前のマッチレスは稲葉さん用)。

5150キャビはアルバム『RUN』のレコーディング時にも試してみたそうですが「ピーヴィーの5150とかも使ってみたけどやっぱりブギーの方がいいと言ってた覚えがある(出典:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』1993年1月号 P.138)」と語っていたことからも本ツアーではロックマン・サウンドよりも5150アンプとの相性を重視した選定がされているようで、当時の嗜好の変化やBUZZ!!ツアーからツアーのメインギターにミュージックマンEVH を据えた影響が大きいと考えられます。

ステージ足元

写真:宝島社『BANDやろうぜ』1996年9月号 P.21

松本さんの足元にはワウペダルとボリュームペダルがセットされていて、下記のものを使用しています。

  • JEN: CRY BABY SUPER (ワウペダル)
  • KORG: XVP-10 (エクスプレッションペダル:ボリュームペダルとして使用)
松本さんのボリュームペダルといえば長年コルグのイメージがありますが初登場はこのツアーなんですね!

システム構成図(by CAJ)

(クリックで拡大します)

画像:リットーミュージック『ギター・マガジン』1996年12月号 P.71

注)このシステム詳細図では"BOSS: OD-1"、"Palmer: PDI-03"となっていますが、正しくはそれぞれ"SD-1"、"PDI-05"です。

詳細図は設計したカスタム・オーディオ・ジャパン(以下「CAJ」)がものが存在しましたので載せています(一部機器に赤文字で入れたコメントはBUZZ!!ツアーから変更なしとの想定ですのでご了承ください)。

若干の変更は見られるものの5150アンプとブルース・デラックスが追加されたこと以外はほぼBUZZ!!ツアーのシステムを踏襲していて、BUZZ!!ツアーの詳細図 では省略されていたブルース・デラックスはパルマーのスピーカーシミュレーターと組み合わせて使用しているのがわかります。

各プリアンプのセッティング

少し見づらいですが各パラメータのセッティングがわかる画像を用意しましたので参考にしてください。

5150アンプのセッティング

バッキング用セッティング
(クリックで拡大します)

ギターソロ用セッティング
(クリックで拡大します)

写真:シンコーミュージック『GiGS』1996年9月号 P.29

CAE 3+SE、3+のセッティング

上段の"CAE 3+SE"がクランチとディストーション用、下段の"CAE 3+"がクリーントーン用です。

写真:宝島社『BANDやろうぜ』1996年9月号 P.21

システム解説(by CAJ)

前述の通りBUZZ!!ツアーのシステムを踏襲していますのでBUZZ!!ツアーの解説文 を参照してください(解説文は「ギター~プリアンプ」と「プリアンプ~空間系~スピーカー・キャビネット」に別れています)。

おわりに

今回は「B'z LIVE-GYM '96 "spirit LOOSE"」のサウンドシステムについてまとめました。このツアーから本格的に導入された5150アンプ及び5150キャビの影響によって、これまでB'zサウンドの中核を担ってきたロックマン・サウンドが変化したこともありファンの間でも賛否両論のサウンドシステムですが、以降のB'zサウンドへの変遷を見ていく上でターニングポイントと言えるのではないかと思います。