【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~Tak DC編その3~

2021年5月10日発売の『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』(以下「ギターブック」)で新たに判明した内容を含めて更新しました。

前回、前々回に引き続き「Gibson Custom Shop TAK Matsumoto Double Cutaway」(以下「Tak DC」)についてAque Blueまでプロトタイプを中心にまとめていきます。

これまでの専門誌、ライブ映像、そして2018年開催の「B'z 30th Year Exhibition "SCENES" 1988-2018」(以下「エキシビション」)の会場で肉眼で確認できた内容をまとめていますが、一部に個人的推測もありますので誤報もあると思いますがご容赦ください。

【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~Tak DC編その1~ 【B’z機材】Tak松本ギターコレクション~Tak DC編その2~

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype #2007-3

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年11月号 P.76

2007年に製作されたプロトタイプで当時TV出演の際に使用された他、翌年の「B'z LIVE-GYM 2008 -ACTION-」、「B'z LIVE-GYM Pleasure 2008 -GLORY DAYS-」(以下「GLORY DAYSツアー」)ではメインギターとして使用されました。

基本仕様はプロトタイプ”#9”を踏襲したものですが、ウェザー・チェックが入れられたエイジド加工が施されている点、金色のトラスロッドカバーに"B'z TWINTIETH ANNIVERSARY"の文字が刻まれている点が特徴となっています。またトグルナットがすり鉢状なのでトグルスイッチはスイッチクラフト製と思われます(市販品は国産のトグルスイッチを採用)。

このモデルはB'zデビュー20周年翌日の2008年9月22日午前0時に"Tak Matsumoto DC Standard Gold Top Aged"として20本限定で市販化が発表されました。松本さんのシグネチャー・モデルとしては歴代最も本数が少ないため中古市場では今でも信じられないような高値で取引されています。

ちなみにエキシビションで展示されたエイジド加工が施されたTak DCはこのギターとされていますが、実際に展示されたのは後述の市販品 (TAK G001)の方です(パンフレットにはこのプロトタイプが載っていました)。

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype #2007-4

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年11月号 P.77

これも2007年に製作されたプロトタイプで当時TV出演の際に使用され、その後はレコーディング、ツアー共に長らくメインギターとして使用され、エキシビションでも展示されました。

黒のカラーリングに真っ白な多層バインディング、ヘッドのスプリット・ダイアモンド・インレイ、エボニー指板にブロック・インレイ、金メッキのハードウェアなどレスポール・カスタムをモチーフとした1本で、プロトタイプ”2007-3”と同様に金色のトラスロッドカバーには"B'z TWINTIETH ANNIVERSARY"の文字が刻まれています。

このギターも2008年に"Tak Matsumoto DC Custom Ebony"として50本限定で市販化され、その後は一部仕様を変更して2nd Editionとして販売され、遂には全世界に展開された(松本さんのシグネチャー・モデルとしては)唯一のモデルとなりました。

一見するとプロトタイプ”2007-4”と市販品は同じ仕様のようですがヘッド形状が違っていて、プロトタイプ”2007-4”はスモールヘッド、市販品はラージヘッドになっています(下の写真参照)。また細かい点ではロックピンがクロームメッキ(市販品は金メッキ)、トグルナットが金メッキ(市販品はニッケルメッキ)といった違いがあります。

写真左:プレイヤー・コーポレーション『Player』2008年12月号 P.124
写真右:プレイヤー・コーポレーション『Player』2008年12月号 P.125

2018年時点での状態をチェック

プロトタイプ”2007-4”は長く使用される中でいくつかのモディファイが施されています。

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2018年4月号 P.63

上の写真は「B'z LIVE-GYM 2017-2018 "LIVE DINOSAUR"」時に撮影されたものです。
オリジナルからの変更点は下記の通りです。

  • ピックアップ換装:Burstbucker New Tak Matsumoto Special (ブラック)→Lollar: Imperial Humbucker (フロント:ダブルクリーム、リア:ゼブラ)
  • トグルナット交換:金メッキ→ニッケルメッキ
  • テールピース交換:ギブソン純正 (アルミ製)→GOTOH: GE101A (アルミ製)
  • バックルガード交換:円形→FAT製オリジナル形状

まずピックアップですが何本かのTak DCと同様に"Lollar: Imperial Humbucker"に換装(同時にピックアップビスも金メッキのマイナスビスからニッケルメッキのプラスビスに交換)されましたが、これまでとはボビンカラーが違っていてフロントがダブル・クリーム、リアがゼブラとなっています(換装時期は2011年頃)。

写真:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.56

ピックアップ換装と同時期にテールピースもギブソン純正 (アルミ製)から「GOTOH: GE101A (アルミ製)」に交換されています。過去にもゴトー製テールピースに交換している個体が数本ありますのでサウンドの変化を狙ったと思われますが詳細は不明です。

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2011年8月号 P.17

また、プロトタイプ”2007-4”のバインディングは経年変化による黄ばみが発生していないのをエキシビションで確認しました。市販品は程度の差こそあれどバインディングに黄ばみが発生しているので(私が以前所有していた1st Editionも黄ばみが発生しました)、使用しているクリア・ラッカーが違うと考えられます。

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype Bonnie Pink #2007-1

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2018年7月号 P.83

2008年のGLORY DAYSツアーの楽屋用ギターとして使用されたプロトタイプの1本で、当時放送されたドキュメンタリー番組内でその姿を見ることができる他、エキシビションでも展示されました。

シリアルナンバーは”2007-1”で、前述のプロトタイプ”2007-3”、”2007-4”と同様に金色のトラスロッド・カバーには"B'z TWINTIETH ANNIVERSARY"の文字が刻まれています。

エキジビション後の専門誌ではカラーリングはボニーピンクと紹介されていたように、上の写真では照明の都合でそのように見えませんがドキュメンタリー番組内でははっきりとピンクであることがわかります。

基本的な仕様は前述のプロトタイプ"2007-3" (エイジドのゴールド・トップ)と同様と推察されますが、ボディ・トップがキルテッドメイプルである点が2006年以降のTak DCとしては異質で、その点が表立って使用されることのなかった要因ではないかと思います(トップ材の種類によってサウンドの傾向は変わります)。

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype #2008-2

写真:リットーミュージック『ギター・マガジン』2008年11月号 P.76

2008年に製作されたプロトタイプで同年のツアーやその後のレコーディングでも使用されました。

前述のプロトタイプ”#2007-3”と同様にエイジド加工が施されていますがボディ・バックおよびネックのカラーリングがやや明るめのブラウンになっている他、これまでのTak DCと違ってピックアップにP-90が搭載されている点、金色のトラスロッドカバーと金色のトグルスイッチキャビティ・パネルにB'z20周年記念ロゴが入っている点が違います。

またこのモデルのみヘッドの"Tak Matsumoto"の後ろに小さく"MODEL"と入れられていて、この仕様は市販品の"Tak Matsumoto DC Standard Gold Top Aged"および"Tak Matsumoto DC Standard Gold Top Gloss"に引き継がれています。

TAK Matsumoto DC Custom Antique Ebony #TAK 8001

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2008年12月号 P.125

2008年秋に50本限定で市販化されたうちの1本で、B'zのシングル「MY LONELY TOWN」のMVや当時のアーティスト写真で使用されました。

「市販のTak Matsumoto DC Custom Ebony」との違いはバインディングが経年変化の黄ばみを再現したものになっている点のみです(正確にはバインディング上のトップ・ラッカーの焼けですね)。それ以外では使われた様子はないのでやや印象の薄いギターです。

TAK Matsumoto DC Standard Gold Top Aged #TAK G001

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年3月号 P.37

2008年秋に20本限定で販売された市販品のシリアルナンバー1番で、エキシビションでプロトタイプ”2007-3”として展示されていたのはこのギターです。

基本的な仕様はプロトタイプ”2007-3”を踏襲していますがバック・パネルが黒に変更(プロトタイプ”2007-3”は茶色)されている他、ネック裏とボディ・バックのエイジド加工の一環として塗装の一部が剥がされています。この一部塗装剥がしについては個人的には「蛇足」と思っていて(笑)、というのも歴代の松本さんの所有するギターでネック裏および(バックルガード導入後の)ボディ・バックの塗装が剥がれている個体は1本もないからです。

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype Korina #1

写真左:リットーミュージック『ギター・マガジン』2010年5月号 P.216
写真右:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年3月号 P.37

2009年末に突如ギブソン社から松本さんのもとに送られてきた1本で、翌年の「B'z LIVE-GYM 2010 "Ain't No Magic"」ツアーで初登場しました。

基本的な仕様はこれまでのTak DCと同様ですがボディおよびネック材にコリーナが使用されていて、コリーナ独特のミドル・レンジが心地良い1本です。当時松本さんはコリーナで製作されたヴィンテージまたはリイシューのフライングVを探していたそうで、そのような状況下で届いたこのモデルは興味深い1本だったと思われます(その後50周年記念のコリーナのフライングVを入手し多用しているのは記憶に新しいところです)。

上の右側の写真は「B'z LIVE-GYM 2011 -C'mon-」以下「C'monツアー」)時に撮影されたもので、当初は左側写真のようにハードウエアが"VOS: Vintage Original Spec"仕上げのニッケルメッキでしたがC'monツアー時にはVOS仕上げの金メッキのものに交換され、この仕様で2010年に"Tak Matsumoto DC Korina Antique Natural"として市販化されました。ちなみに市販品はピックアップのアジャスタブルポールピースも金メッキですがプロトタイプはニッケルメッキのままです。

余談ですが、エキシビションで展示されていたのはボディ・トップの杢目の違いやトラスロッドカバーが通常のものであること、コントロールノブにポインターが付いているなどの点からこのプロトタイプではなく市販品で、ギターブックでシリアルナンバーが"TAK K001"であることが判明しました(パンフレットにはこのプロトタイプが載っていました)。

また、同じコリーナのモデルでもエスカッションやトグルスイッチプレートがアイボリーのものが当時のファンクラブ会報やその後の映像作品でも確認できることから、上記のモデルと共にギブソン社から送られてきたと推察されます。

この他にも複数本所有していることがギターブックで判明しています。興味のある方は是非ギターブックをご確認ください。

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype 2011 #1

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年3月号 P.37

2011年8月頃に入手した1本で、翌月開催の「PEPSI NEX presents B'z 1DAY LIVE」(以下「1DAY LIVE」)で初登場となりました。

このモデルは2012年8月に"Tak Matsumoto DC Standard Aqua Blue Limited Edition"として市販化され、その後2nd Edition、更にはエピフォン・ブランドからも発売されました。

鮮やかなアクア・ブルーのカラーリング以外は基本的な仕様はこれまでのTak DCと同様で、1DAY LIVE時はナット交換とバックルガード装着以外は(外観上は)オリジナル状態で使用していましたが、C'monツアー時にはトラスロッドカバーが青のアルミ削りだしのものに、そしてピックアップが「Lollar: Imperial Humbucker (初期型)」に換装されています。

この時初めて専門誌でピックアップがローラー製であることが明言されましたが、熱心なファンはほとんど気付いていたと思いますので今更感があったのではないでしょうか(いくつかの特徴から該当するのはこのローラー製のみだったので)。

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年3月号 P.37

余談ですが、松本さんがステージで使用するギターには基本的にバックルガードが導入されていますが、下の写真からわかるようにバックルガードの外側にもバックル傷が及んでいるのがわかり、特にトグルスイッチ部のバックプレートはかなり傷んでいます。近年の松本さんの演奏フォームは激しいアクションをつけることなく比較的固定されていますし、かつてのように派手なバックルの衣装も着用していないにもかかわらずここまで傷が入るところに全国ツアーを精力的に行うプロギタリストの愛機の凄みを感じます。

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2012年3月号 P.37

TAK Matsumoto Double Cutaway Prototype with Fire Flame

写真:プレイヤー・コーポレーション『Player』2018年7月号 P.83

B'zのシングル「GO FOR IT, BABY -キオクの山脈-」のMVや「B’z LIVE-GYM 2012 -Into Free-」で使用されたボディ・トップにペイントされたファイヤー・フレイムが印象的な1本で、エキシビションでも展示されました。

当時のギブソン製品で目にする機会があった同系統のペイント・スタイルをTak DCに適用したモデルで、エスカッションビスが金メッキ、ラージヘッド、ワイヤーなしのABR-1、トラスロッドカバーに"Tak Matsumoto"と入っていることなどから「2nd Edition以降の市販のTak Matsumoto DC Custom Ebony」がベースなっていると推察されます。

おわりに

この他ドキュメンタリー番組内で確認できるトラスロッドカバーにB'z20周年記念ロゴが入っている黒いモデルなどを含めてかなりの本数が存在することがギターブックで判明しましたが、Tak DCについては今回で最後となります。

今回紹介したモデルはほぼプロトタイプで、以降のシグネチャー・モデルも松本さんはプロトタイプを使用し続けています。この辺については歴代のシグネチャー・モデルを所有されている(所有していた)方やエキシビションに足を運んだ方は感じるものがあるかと思います(笑)。

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