【所有ギター紹介】YAMAHA MG-M Custom Zebra

長年の憧れ、MG-M Customを遂に入手しました!

過去十数年探してきた中で入手可能な機会は何度もありましたが状態の良い個体がなかなか無く、ようやく状態の良い個体の入手に至りました。

この個体は目立つ傷がほとんどなくフレットも減っていないためコレクション状態だったようです。

ボディ

ボディシェイプ

ボディは従来のMG-Mシリーズの丸みを帯びた形状から角ばった形状に変更されています。また、これまでのフラット・トップからアーチ・トップに変更され、ボディ・バックのコンター加工も施されていないなどレスポールを意識したデザインとなっています。

このデザイン変更によりレスポールから持ち替えた際にも違和感の少ない弾き心地になっている反面、ストラト系を踏襲している従来のMG-Mシリーズを好む方も多いようです。

ボディ材

画像:シンコーミュージック『GiGS』1993年11月号 P.164

ボディ材はメイプルトップ・マホガニーバックを基本にしつつ、レスポールのニュアンスに近づけるためにメイプルの間にスプルースをはさむ独特の4層ラミネート構造です。

この材構成の影響で当時の専門誌をはじめ「非常に重い」と一般的には認識されていますが、実機を手にしてみるとさほど重いといった印象はなく、実際私の所有機は3.86kgと当時の一般的なレスポールと比較してもやや軽いと言って良いと思います。

カラーリング

※松本さん所有機 (サスティナー搭載)

写真:シンコーミュージック『GiGS』2001年1月号 P.76

かつてメイン機であったビル・ローレンスのストラト・タイプをモチーフとした印象的なゼブラフィニッシュは「B'z LIVE-GYM Pleasure '93 "JAP THE RIPPER"」で使用していた個体と比較して縞模様が細かく、現在も松本さんが所有しているサスティナー搭載の"MG-MIII Custom Zebra"に近い縞模様です。

縞模様のカラーリングは遠目にはやや色が入っているように見えるためミントグリーンと表現されているのを見かけますが、肉眼で見るとまっ白な縞模様から下地の黒が透けているためそのように見えるのがわかります(イメージとしてはヴィンテージ・ストラトの通称「グリーンガード」のように中間層が透けた感じでしょうか)。

ロック式トレモロユニット

ロック式トレモロユニットは"Rockin' Magic-Pro III"(以下「RM-PRO3」)のミラーブラック・メッキ品が搭載されています。

サドルはRM-PRO2がブラス製なのに対して、RM-PRO3はスチール製が採用されていてフロイドローズ・オリジナルと同様です。

私の所有機のサドルは比較的綺麗な状態を保っていますがミラーブラック・メッキは耐久性に難があるようで、過去中古市場に出てきた"MG-M Custom"はほとんどの個体でサドル・メッキの腐食が進んでいるようです。そのため、耐久性の観点からできればクロームメッキのサドルに交換したいと考えています。

余談ですが、当モデル及びMG-MIII (MG-M3)はロック式トレモロユニット下のザグり形状(ザグり開始位置)が変更されているため弦高設定およびアーミングの可変幅が従来のMG-Mシリーズより狭くなっています。

特に当モデルはセットネック方式のためネック仕込み角を調整できないので前述の二点を好みのセッティングへ追い込みにくいと感じる方もいるかと思います。

フロイドローズのアームバーに換装!

アームバーは松本さん本人仕様の"MG-MIII Custom"と同様にフロイドローズ・オリジナルに換装しています。クロームメッキを選択したのは松本さん所有機と同じものにしたかったのもありますがメッキの耐久性の方が理由としては大きいです。

【B’z機材】ロッキンマジックプロ:本人仕様はフロイドローズのアームバー!

ちなみにサスティーンブロックは現状はオリジナルのスチール製を使っていますが、やや音が硬いと感じていることや松本さん本人仕様の"MG-MIII Custom"はフロイドローズと同形状のブラスブロックと推察されることを踏まえてRM-PRO2用のブラスブロックに換装予定です。

⇒2023/1/15更新
サスティーンブロックもフロイドローズ・タイプに改造された特殊仕様のRM-PRO3の特集記事を公開しました。

松本さんご本人の"MG-MIII Custom"はスプリングキャビティのザグり位置が市販品とは異なる他、バックパネルに弦を通すスリットが開いていないことなどから下記記事のRM-PRO3が搭載されていると推察されます。
魔改造⁈松本さんのロッキンマジックプロは特殊仕様!

スプリングキャビティ

一見すると松本さん本人仕様の"MG-MIII Custom"と同様のようですが市販品のスプリングキャビティはネック寄りにザグられていて、RM-PRO3のサスティーンブロックの位置の違いによるものです(前述の関連記事参照)。

こちらについては本人仕様と市販品の違いを検証した記事を後日作成予定です。

また、スプリングハンガー用のビスが従来のMG-Mシリーズよりも太くなっています。

ちなみにバックパネルに落とし込みがあるモデルのサスティーンブロックは通常背の低いタイプが採用されていますが、当モデルは十分な厚みがあるため従来のMG-Mシリーズと同様に背の高いサスティーンブロックが採用されています。

ピックアップ&エスカッション

ピックアップはいずれもヤマハOEMのディマジオ製でフロントが"YGDH-5B (PAF)"、リアには"YGDH-6B (The Tone Zone)"をそれぞれダイレクトマウントしています(リアのエスカッションはデザイン上のダミーもしくはピッキング時の右手の収まり具合の調整用ではないかと思っています)。

また、他のヤマハ・ラインナップの上位機種と同様にピックアップキャビティ内には導電塗料によるノイズ対策が施されています。

"MG-M Custom"はレスポールを意識した材構成に中低域が強めのトーンゾーンを搭載していることもあってか、映像作品『LIVE RIPPER』でも随所で聴ける「(アームダウン時の)ゴーッ」というサウンドなどにやや違和感を抱いていたのですが(開発時のコンセプトほどレスポールっぽさを感じられないため)、これはこれとして(当モデルのキャラクターとして)敢えてレスポールに寄せることなくこのまま使っていこうと思っています。

余談ですが、市販のディマジオ製ピックアップはマニュアル通りに配線すると正相になる(アナログテスターの針が右側に振れる)のが一般的ですが、当モデルやパシフィカなどヤマハ製ギターは逆相になる(アナログテスターの針が左側に振れる)ように配線されているようです。

ノブ

ヤマハ独自のブラス製ノブでトップの平らな部分の形状が年代によって違います(MG-Mシリーズには確認できているだけでも4、5種類あります)。

当モデルのノブは平らな部分の面積が狭いタイプで1993年頃からよく見かけるようになり、以降もこのタイプのノブが使われています(※ヤマハのパーツは品番は同じでも頻繁に仕様が変更されているのが確認されています)。

アッセンブリー

(※写真はオリジナル状態)

オリジナルの3点式ピックアップセレクターは従来のMG-Mシリーズとは異なり操作感の軽いタイプ(品番は"DM-30"です。従来のMG-Mシリーズは国産の"YM-50")が採用されています。

その他ボリュームポットにはCTS製の軽トルクタイプ、出力ジャックには国産品がそれぞれ採用されています。

30年近く経っていることもあり、入手時点でピックアップセレクターとボリュームポットはガリが発生していましたのでピックアップセレクターをCRL製に、ボリュームポットは同等のCTS製に交換しています(配線材は敢えて交換していません)。

ちなみに一般的なCTS製ポットは取り付け軸がインチサイズのため、従来のMG-Mシリーズなどモデルによっては取り付け穴を拡張する必要があります。また、シャフト(ノブ)のギザギザもインチ仕様とミリ仕様でサイズが違いますので購入の際には要確認となります(ただし、ノブが六角レンチで固定するタイプの場合はインチ・ミリ共に使用可能です)。

ネック材&ジョイント

ネック材はメイプルとマホガニーの5ピースとなっていて「強度と響きを重視した結果(出典:シンコーミュージック『GiGS』1993年11月号 P.164)」とのことで、肉眼では塗装の上からでも各材の継ぎ目がはっきりとわかります。

ジョイントはレスポールと同様にボディに対して角度を付けたセットネック方式で、松本さん所有の"MG-MIII Custom"とは異なりジョイント周辺の削り込みは施されていません(Red Sunburstとダブルネックのモデルを除く)。

ネック形状

従来のMG-Mシリーズよりも太めの形状に変更されていて、1991年製ゴールド・トップに近い握り心地です。参考までに私の所有する1991年製ゴールド・トップとの形状比較表です。

(クリックで拡大します)

指板&インレイ&フレット

指板材はメイプルでクリーム色のバインディングが施されていて、メイプル指板にありがちな弾き込みによるエッジ部分の塗装剥がれや黒ずみが発生しにくくなっています。

インレイは従来の黒ドットから変更されていて「松本自身が最も新しいMGのイメージ合うものをチョイス(出典:シンコーミュージック『GiGS』1993年11月号 P.164)」したとのことで、個人的にもこのデザインはカッコいいと思っています。

フレットは所謂ジャンボフレットで、幅と高さを測定したところ「ジム・ダンロップの#6100」に類似した国産品が採用されているようです(当時のヤマハの一部上位機種ではジム・ダンロップのフレットが採用されていて、その場合には明確にカタログに記載されています。)

松本さんはこのタイプのフレットが好みのようで、当時スティーヴィー・サラスとの対談で「大きなフレットは僕も好きだな(出典:シンコーミュージック『GiGS』1992年2月号 P.52)」と語ったことがあり、現在に至るまで多くの個体で同傾向のフレットが採用あるいはリフレットがなされています(あくまでも傾向であり、細めのタイプにリフレットされている個体もあります)。

ロックナット

ロックナットはフロイドローズ・オリジナルと同形状の裏止めタイプが採用されています。

同様にストリングリテイナー(所謂「テンションバー」)もフロイドローズ・オリジナルと同形状で、いずれも従来のMG-Mシリーズで採用されていたヤマハ・オリジナルパーツから汎用パーツに変更されています。

余談ですが、私の所有機はロックナットの高さ調整用にテレホンカードをカットして作成したシムが挟まっていました。歴代所有者のどなたかが作成したと推察されますが時代を感じますよね(笑)

ヘッドデザイン

従来のMG-Mシリーズと同様のヘッド形状にシンプルで大きめなヤマハのロゴが貼られています。

また、トラスロッド調整機構がネック側に移動されてトラスロッドカバーが無くなったことでスッキリした外観はMG-Mシリーズ上唯一の仕様となり、一見して"MG-M Custom"と認識できる要素にもなっています。

トラスロッド

トラスロッド・ナットはフロントピックアップのザグり内にあり、ネック反り調整はフロントピックアップを外して行う仕様となっています。

この仕様は正直なところ非常に扱いづらく、当モデルのネック反り調整は下記の手順で行います。

MG-M Customのネック反り調整手順

  • 1. 弦を緩めフロントピックアップを外してロッド調整
  • 2. その状態で弦を張ってネックの状態確認
  • (NGなら再び弦を緩めてロッド調整)
  • 3. OKなら再び弦を緩めてフロントピックアップ装着
  • 4. 再び弦を張ってロッド調整完了

いかがでしょうか、ヴィンテージ・タイプのフェンダー製品よりもさらに手間がかかり、従来のMG-Mシリーズを含めて随一の難点で、当モデルが短命に終わってしまった理由のひとつではないかと個人的には思っています(特にツアー時のギターテックの負担はどのギターよりも大きかったと推察されます)

ちなみにアメリカのヤマハR&Dギター・ビルダーが製作したダブルネックのモデルはフロントピックアップと22フレットの間にロッド調整用穴を設けることで前述の問題をクリアしているようです(同様の方式が"PACIFICA 904"でも採用されています)。

※松本さん所有のダブルネック

写真:シンコーミュージック『GiGS』1996年1月号 P.27

ペグ

YAMAHA刻印入りのゴトー製ペグのミラーブラック・メッキ品が採用されています。ここも使用に伴い、つまみのメッキが劣化・白濁している個体がほとんどのようですが、私の所有機は比較的綺麗な状態を保っています。

ストラップピン

ストラップピンは松本さんと同様に黒メッキの"Schaller: Security Locks"に交換しました。

ストラップピンの位置はホーン先端側は従来のMG-Mシリーズと同様の配置ですが(厳密には正面から見るとやや指板方向に傾いています)、ボディ・エンド側は中心から6弦側にオフセットさせて取り付けられていて、当モデルの大幅なデザイン・コンセプト変更による演奏性や重量バランスの変化に対応させた結果と推察されます。

ただし、松本さん本人仕様はB'zのアルバム『The 7th Blues』発表時の専門誌の機材紹介時はまだオリジナルの位置でしたが「B'z LIVE-GYM '94 "The 9th Blues" ~Part 1~」以降は従来のMG-Mシリーズと同様にボディ・エンド中心に付け直されて現在に至ります(下の写真参照)。

写真上:シンコーミュージック『GiGS』1993年11月号 P.165
写真下:2021年発行 リットーミュージック『TAK MATSUMOTO GUITAR BOOK』P.119

出力ジャック

従来のMG-Mシリーズと同様のストレートタイプのジャックが採用されていて、ボディからやや奥まった配置に変更されたためストレート・プラグのシールドのみ使用可能です。

ここは好みの分かれるところだと思いますが、座って弾く際にプラグが椅子やソファに干渉しないことや個人的には一部の所有機ではストレート・プラグのシールドを使用しているので特に気になったことはありません。

おわりに

以上できる限り詳細に見てきましたが、いかがでしたでしょうか。

当時1991年製ゴールド・トップを多用していた松本さんの嗜好の変化に合わせて大幅なコンセプト変更モデルを短期間で完成させたところにヤマハの意地を見せられた気がします(今では考えられませんが、エンドーサーにもかかわらずギブソンやフェンダーをメインに据えていたことも決して無関係ではないように思います)。

ただし、アーミングの可変幅(ザグり形状)やネック反り調整の手間など演奏性・メンテナンス性にやや詰めの甘さが見られ、それらは後のダブルネックのモデルで改善されたと個人的には感じており、いつの日か再販されることがあればダブルネックのモデルの良い部分を取り入れてもらえるといいなと思っています(現実的には難しいでしょうが)。

また、一般的にはドンズバと言われている当モデルですが、本文中でも触れたとおり松本さん本人仕様と市販品には一部の仕様に明確な違いがあり、後日特集記事を作成予定ですので本記事と併せてお読みいただければ幸いです。

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