【所有ギター紹介】MUSIC MAN EVH Trans Gold

ミントコンディションで入手したトランス・ゴールドのEVH。

数年前にミントコンディションで入手しました。
ボディ・バックに一箇所浅いスリ傷がある以外は全く傷がなく、バックプレートのビニールも剥がされていませんでした。またこのモデルの宿命ともいえるネックおよび指板の黒ずみも皆無でフレットも錆びついていたことから弾かれてこなかったコレクション状態だったことが窺えます。

このモデルはVAH HALENのギタリスト、エドワード・ヴァン・ヘイレン(以下「エディー」)初のシグネチャー・モデルとして発表され、いちプロ・ギタリストのモデルでありながら様々なプロ・ギタリストがステージでも使用する程のスタンダードなモデルとなりました。

私が最初にこのモデルに興味を持ったのは1993年発表のVAN HALENのライブビデオ『LIVE: Right here, right now』で「エディーのギターカッコいい&音いい」と思いながら繰り返し見ていました。

その後松本さんがピンクのモデルを使い始めたのをきっかけにいつかは欲しいと思いながらも中古市場での価格高騰と年々コンディションの良い個体(主に見た目ですが…)が見つかりにくくなる中で諦めていたところにミントコンディションで出てきて運よく入手できました。

基本的にはそのまま使用していますがエディー・ファンの方にとっては邪道といえるカスタマイズもしています。

カラーリング&ボディ材

正式にはトランスルーセント・ゴールドと呼ばれるカラーリングで、便宜的にイエローと称される場合もあるようです。過去AXISとAXIS-EXも所有していましたが全てトランス・ゴールドでした。

比較すると分かりやすいのですがEVH (AXIS)とAXIS-EXでは若干色味が違っていてEVH (AXIS)は黄色味があってAXIS-EXは若干茶色よりの濃い色味です。EVH (AXIS)はカラーによって紫外線による退色が起こりやすいのですが、トランス・ゴールドはその影響が小さいようで私の所有機も含めて比較的元の色味を維持している個体が多いようです。

ボディ材はキルテッドメイプル・トップ、バスウッド・バックで、トップは比較的大柄の杢目がはっきり出ていてトランス・ゴールドのカラーリングにはよく映えます。私の所有機は比較的重量のあるバスウッドが使われているようで、総重量は3.5kgを超えていてEVHの中では重めの部類に属するようです。ちなみに以前所有していた1996年製AXIS (USA)は3.4kg台で、AXISとしては軽めの部類でした。

ロック式トレモロユニット

フロイドローズライセンスのゴトー製でMUSIC MANの刻印が入っていてゴトー製GE1988Tをベースにカスタマイズされたモデルとのことで、私自身はこのトレモロユニットの操作感が最も好みです。

トレモロユニットは下面のプレートをボディ上面にぴったり密着させるベタ付け状態に調整していて、この状態で弦高を下げるために各弦のサドルにシムを入れて調整しています。これには指板のアールと合わせる意味合いもあります(EVHは指板のアールがきついです)。

トレモロブロックは一般的なブラス製ですが初期物のEVHには黒く塗装されたスチール製ブロックが使われていて、これはミュージックマン社の要望で当初はスチール製で販売していたところ「やはり音が硬くなってしまったので、ブラス製に変更されることになった(出典:2012年発行 シンコーミュージック『ザ・ギターマン 特集●EVHギターズ[増補改訂版]』P.134)」経緯があります。

またEVH製のDチューナー(クロームメッキ)を装着していて、これひとつでドロップDチューニングの楽曲に即座に対応できるので重宝しています。

ちなみに私はメッキなしのプロトタイプを1990年代から長年愛用していましたが(エディー本人がトランス・ゴールドのMUSIC MAN: EVHに装着していたものと同仕様です)、メッキされていないためDチューナー本体の出し入れに引っ掛かりが合ってスムーズさに欠けるので本機入手を機にEVH製のDチューナーを使用するようになりました。

あと個人的にはハードウェアのメッキはクロームが耐久性があって経年変化が少ないので好みです。恐らく同様の理由でエディー本人も"EVH: Wolfgang Stealth"は黒メッキのトレモロユニットをクロームメッキのものに換装しています。

ピックアップ

フロント・リア共にディマジオ製のカスタムモデルがダイレクトマウントされていて、ベースプレートにはフロントがN1、リアがB1と刻印されています。ベースプレートは黒く塗られているのが特徴で、ピックアップに換装歴がないかの判断材料になりますが初期物は黒く塗られていないようです。

サウンドについてはいろいろな見解があるかと思いますが、個人的にはEVH発表当時に語られていた「オールドPAFをベースにした出力が低く音の分離の良い」という印象はなく、比較的出力が高い割にはそこそこニュアンスが出せる、ディマジオらしい鼻つまみ感のある音と言えるのではないでしょうか。

ノブ

エディーの洒落で採用された「TONEノブ」です。実は同じフォントのものを探そうと思ってもアフターパーツとして見つけるのが困難なノブで、代理店経由でなら取り寄せられます。

ジャックプレート

ニッケルメッキの長方形のジャックプレートが採用されているので写真のように使用による劣化で表面が若干汚くなってしまっています。

トグルスイッチ

写真:シンコーミュージック『YOUNG GUITAR』2019年11月号  P.181

3点式トグルスイッチですがオリジナルのトグルスイッチはノブが短く、ストロークも短いので切り替えづらいためゴトー製に換装していて、またトグルナットは松本さん所有のピンクのEVHと同様のものに交換しています。エディー・ファンの方には邪道なカスタマイズでしょうが、松本さんが同様のカスタマイズを行っているため中古市場でも時折見かけますよね。

松本さん所有のEVH (AXIS)はピンクを除きL字型のトグルスイッチにレスポールなどで使用されるすり鉢状のトグルナットという組み合わせだと思いますが、L字型を使用するとトグルナットとスイッチノブが干渉して少しノブに触れただけでセンターになってしまうのでザグりの深さを調整した方が良いと思います(AXIS-EXモディファイ時に経験済です)。

アッセンブリー

シンプルな1ボリュームでCTS製ポット (軽トルク)が採用されています。もともとがミントコンディションのためポットの劣化が確認されていないので現状はオリジナルのままです。

ネック・ジョイント

金属プレートを介した5点止めで設置面積が広くとられているためがっちり固定されていて激しいアーミングをしてもMG-Mシリーズのようにグラつく感じは全くしません。ハイポジションへのアクセスがしやすいように非常になだらかに加工されていて、ここはAXIS-EXと大きく違います(AXIS-EXはやや角ばっています)。

金属プレートにはシリアルナンバーが刻印されていて私の所有機は#87XXXで、ミュージックマン社のシリアルナンバー・データベース(https://www.music-man.com/serial-number-database)から1995年8月10製造で、松本さんの所有するトレモロレスのEVH と同じ製造年月日でした。

ネック材&形状

材質はバーズアイメイプルの所謂貼り指板ですが、一枚のメイプルを一度ネックと指板に切断後にトラスロッドを仕込んでから再接着するという手の込んだ仕様になっています。そのため周囲環境の変化に敏感でネックがやや動きやすいとも言われています。

無塗装でオイルフィニッシュのため手触りがよく通常のメイプル指板のようにフィンガリング時に指がひっかかるような感触もないのが特徴ですが、反面手垢やフレットの削れカスで黒ずみやすく中古市場でもネックの綺麗な個体はほぼ存在しない状況です。

また、梅雨時にはネックの感触が若干ジトッとするのが難点で、私自身はその感触が苦手なのと前述の黒ずみの問題、そしてコンディション維持(メンテナンス)の観点から私の所有機はネックおよび指板を艶消し塗装していて、現在は一年を通して安定していてトラスロッドを調整することはほぼ無くなりました(私の所有機はバーズアイが控えめなのも影響していると思います)。

ネック形状は写真からわかるように6弦側にやや膨らみを持たせた独特の非対称形状のシェイプを採用していてよく手に馴染みます。学生時代に初めてこのネックを握った時(AXIS-EXではありましたが)の感動は今もよく覚えています。

EVHとAXISはほぼ同じ形状ですがEVHの方がやや厚みがあり好みでした(AXIS-EXはEVHよりもさらにがっちりした握り心地です)。参考までに以前所有していた1996年製AXISおよび1997年製AXIS-EXとの比較です。

《ネック形状比較表(厚み)》
1フレット 7フレット 11フレット
1995 EVH 21.8mm 22.9mm 23.6mm
1996 AXIS 21.2mm 21.9mm 22.9mm
1997 AXIS-EX 21.6mm 23.2mm 24.3mm

ネック厚の測定にはデジタルノギスを使用し、各フレット直近の指板の上からネック下までを測っています。

《ネック形状比較表(幅)》
1フレット 7フレット 11フレット
1995 EVH 42.1mm 47.3mm 50.1mm
1996 AXIS 41.9mm 47.4mm 50.1mm
1997 AXIS-EX 43.3mm 48.3mm 50.7mm

指板&ポジションマーク

材質はメイプル、ポジションマークは黒ドットです。フレットはやや低めで標準的な幅のタイプで扱いやすいと思います。

個人的にはトレモロユニットがベタ付けセッティングのEVHはフレットの減りによる弦高調整がシビアなので、現行の"EVH: Wolfgang"のようにステンレスフレットも視野に入れたいところですがサウンドへの影響が大きいとのことなので未だに踏み出せていません。

ヘッド形状&ロックナット

ミュージックマン独自の4対2の非対称形状でコンパクトにまとまっていて、ヘッド先端にはエディーのサインがプリントされています。またEVH(AXIS)とAXIS-EXではヘッド形状、ストリングリテイナー(所謂テンションバー)の取付け位置などが違っていてヘッド裏のアメリカ製を表すプリントを確認しなくても容易に判別できます。余談ですが数年前に大手楽器店がAXIS-EXをEVH→AXIS移行期の希少な”UNNAMED”として販売していたことがあって、後に修正されましたが(恐らく指摘されたのでしょう)中古市場では時折このようなことがありますので十分注意する必要があります。

ロックナットはフロイドローズ・オリジナルタイプ(恐らくゴトー製)の裏止めタイプが採用されていて弦高調整のためにシムがはさまれている個体も多いようです。裏止めタイプはネックに大きめの穴を貫通させるため強度が低下するようで、ここからポッキリ折れているEVHをネット上で見たことがあります。個人的には表止めの方が良いのではないかと思っていますが、調整のしやすさは裏止めに軍配が上がるので難しいところです。

ペグ

シャーラー製でペグボタンがパール柄のものが採用されていて、私の所有機は当初シャーラーのブランドロゴがプリントされたものが付いていましたが現在は"S”刻印のものに交換しています(単に見た目の好みです)。

ここは年代によって外観が違うものが採用されていて1991年~1995年前半までは”S”刻印のものが、1995年途中からはブランドロゴのものがそれぞれ採用されています(移行期には混在しています)。松本さんのEVH (AXIS)も個体によって"S"刻印またはブランドロゴのものが使われています。

おわりに

冒頭にも述べたように生産完了後20年以上経ってからトランス・ゴールドのEVHをミントコンディションで入手できたのは本当にラッキーでした。

かつてのような異常なプレミア価格は落ち着きましたがそれでも状態の良い個体は今でも定価以上で取引きされるモデルですので、入手を検討される方はこまめに情報収集する必要がありそうです。

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