【所有ギター紹介】Killer KG-Prime Thunderwing Blueberry Burst

発表と同時に予約後、10か月を経てついに届いた至高の逸品です。

「B'z LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-」ツアーで初お目見えの1本で、同ツアーの映像作品発売日の2019年3月13日に発表されました。


もともとKG-Primeには興味があって(タッカン・ファンでもあるので)、過去何度か購入を検討していましたがその度に他に優先したいものが出てきてなかなか縁がなかったのですが、今回ついに入手に至りました。

発表されて気になっていたのはどういう仕様なのかということでした。見ていくとミディアム・スケールにセットネック、一般的なUシェイプのネック形状など長年MG-M Customを探しつつも未だに入手できていない身としてはこれほどピッタリなモデルはないということですぐに予約を入れました。

ちなみにこのモデル、公式HPにも各販売店舗の説明文でも名前こそ出ていませんが事実上のシグネチャー・モデルですよね(笑)

ボディ材&カラーリング

ボディ材は公式HPには2ピース・アッシュと記載されていますが、軽量に仕上げられていることからライトアッシュが採用されているのがわかります。アッシュは杢目が比較的わかりやすい木材なので受注生産品ということで杢目が選べないのがちょっと気になっていたのですが、バランスの取れた納得できる杢目でほっとしました(笑)

カラーリングは公式には"Blueberry Burst"とされたポリ塗装が施されていますが肉眼で見ると公式HPの写真と比較して全体的にやや明るく、また紫色が強めに出ているため、特にボディ・バックは全く違って見えます。ただ、上の写真のように昼白色の照明下で写真に収めると公式HPのカラーリングに近くなり、色味の表現が難しく感じます。

その他、カタログに"Natural Binding Line"とあるように塗り分けでバインディングが施されていて、アッシュの美しい杢目が映えます。

ボディ形状

一般的には変形ギターに属するインパクトのあるボディ形状ですが、座って弾く場合でもボディのくびれが膝にちょうど良い位置に収まるように設計されているため、変形ギターにありがちな両腕で支えながら演奏するようなこともないので長時間弾いていても疲れることはありません。また、非常にコンパクトにまとめられているので小柄な方が立って弾く場合でも見栄えのするボディ形状だと思います。

ロック式トレモロユニット

ロック式トレモロユニットは"Floyed Rose Original"のクロームメッキ品が採用されていて、ボディのスタッド穴には補強のため真鍮のリングが埋め込まれています。

大定番ということもあり、派手なアーミングをしてもチューニングの安定性は素晴らしいものがあります。アームバーの取付・着脱の容易性やアーミング時の重さ(操作感)も個人的には非常に扱いやすいところに収まっていて、アーミング時の差込み口付近のガタつきが少ないのもいい感じです。

また何かユニットにトラブルが発生した場合でも各パーツを単体で容易に入手できるので長く愛用できる点もポイントが高いです。この辺は例えば独自パーツ満載のヤマハ製品などと比較すると安心感があります。

ちなみに初期設定ではユニット本体は一般的な「ボディに対して平行」にセットアップされていて、アームダウンの可動量を多くするために後端が下がった所謂「高崎セッティング」ではありません。スプリングも初期設定では「3本ハの字掛け」になっていて、多くのKG-Primeシリーズで採用されている「4本平行掛け」ではないことから松本さんの好みが反映されているようです。

ピックアップ&エスカッション

ピックアップはフロント、リア共にセイモア・ダンカン製で、フロントに"Saturday Night Special Neck"、リアに"Saturday Night Special Bridge"が搭載されています。カタログではヴィンテージ系ピックアップよりもわずかに出力を上げたものとされていますが、程よく歪みつつクリーントーンも煌びやかで扱いやすい特性です。

またレスポールから持ち替えてもエフェクターやアンプのセッティングを変更しなくてもサウンドも音量もバランスが取れますのでステージで複数本使用する方にもいいと思います。このあたりからもレスポールの延長線上を想定して設計されたモデルと言えそうです。

エスカッションは傾きの付いていないフラットで薄いタイプが採用されていて、取り付け部にはリセス加工が施されていてボディ上面からほとんど飛び出していないのが特徴です。ここは従来のKG-Primeシリーズを踏襲しています。

ノブ

ノブはアンバー色の所謂スピードノブ(バレルノブ)が採用されていて、写真からもわかるように若干ボディにリセス加工が施されています。

ジャックプレート

ストラトキャスターと同様の船形のものが採用されていて、シリアルナンバーのシールが貼られています。

トグルスイッチ

国産レスポールタイプと同様のストレートタイプのトグルスイッチ (ゴトー製)が採用されています。他のKG-Primeシリーズはミニスイッチですが、ここは松本さん所有のMUSIC MAN: EVH と同様に操作性を重視しての選択がされています。そういえばタッカンから貰ったKG-Prime (Vintage Gold)もトグルスイッチを交換していますよね。ここにも松本さんの操作性への拘りが感じられます。

アッセンブリー

ポットはボリューム、トーン共に"ESP: ORIGINAL PARTS BOURNS POT 500kΩ"が採用されています。スリーブ(取付軸)がインチでシャフトがミリ規格になっていて、以前販売されていたESPオーダーのCTS製ポットの後継品です。CTS製と比較してややトルクが重めですがスピードノブが採用されていることもあり操作感は十分軽いです。

コンデンサはESP製品に標準で使用されているものと同様のタイプのようで、単体販売もされているちょっとチープな感じのものですが、現状特に気になるところはないです。

はんだ付けは正直なところ可もなく不可もなくといった感じですが、配線処理は十分綺麗かつメンテナンスしやすいようにまとめられており、国産製品の丁寧さ・几帳面さがよく出ていて好感が持てます。

ちなみにコントロールキャビティのザグりが1ボリューム仕様の他のKG-Primeシリーズと同じ大きさになっていますが、かつての1ボリューム・1トーンのモデルでは大き目のザグりが採用されていました。そのため「生で鳴らした時に1~2弦の鳴りが悪い(出典:1993年発行 シンコーミュージック『100%高崎晃』P.80」との理由からザグりを小さくするために1ボリューム仕様に変更された経緯があります。Thunderwingはこの点を考慮して1ボリューム仕様の小さなザグりにトーン回路を追加したと考えられます。

ネック材&ジョイント&スケール

ネック材は1ピース・ハードメイプル(プレーン)が採用されていて、他のKG-Primeシリーズとは違ってセットネック・ジョイント、ミディアムスケール (628mm)になっているのがこのモデルの大きな特徴となっています。この点がレスポールを意識して設計された、松本さんの好みを最も反映した仕様だと思います。

この恩恵は大きくて、レスポールをはじめとするミディアムスケールのギターに慣れている方には持ち替え時の演奏性の違和感も小さいと思いますし、個人的にはこのモデルを購入する最大の動機でした(実は直前まで別のKG-Primeを検討していましたがThunderwing発表で一気にこちらに気持ちが傾きました)。

また、このモデルは一般的なギターのようにネックアングルも付けられておらず、「1弦側に3度傾ける」他のKG-Primeシリーズの特徴的な仕様は踏襲していません。

ネック形状

他のKG-PrimeはローポジションがVシェイプで、ハイポジションになるにつれてUシェイプになっていく所謂「VUシェイプ」ですが、Thunderwingは一般的なUシェイプになっています。参考までに初代キャナリー・イエローのTAKモデル (以下「TAK CY」)の形状比較表です。

《ネック形状比較表(厚み)》
1フレット 7フレット 11フレット
Thunderwing 22.1mm 23.2mm 23.8mm
TAK CY 20.8mm 22.4mm 23.5mm

ネック厚の測定にはデジタルノギスを使用し、各フレット直近の指板の上からネック下までを測っています。

《ネック形状比較表(幅)》
1フレット 7フレット 11フレット
Thunderwing 44.0mm 49.0mm 51.9mm
TAK CY 44.3mm 49.5mm 52.1mm
《ネック形状比較表(円弧)》
1フレット 7フレット 11フレット
Thunderwing 69mm 75mm 79mm
TAK CY 69mm 74mm 78mm

円弧の測定にはメジャーを使用し、各フレット指板の上から反対側の指板上までの円弧を測っています。

いかがでしょうか、TAK CY と比較してやや厚みがあるのがわかると思いますが、がっちりした握り心地は近いものがあって、感覚的にはTak Burstを除くギブソン製シグネイチャーモデルと同様のネック形状を踏襲しているように感じられます。

指板&インレイ

指板は目の詰まった赤みを帯びた茶色いローズウッドにドット・インレイが採用されていて、木目の感じや縞模様の入り方と色味からマダガスカル・ローズウッドのように見えますがカタログにはローズウッドとだけ記載されているので実際のところは不明です。

またカタログには記載されていませんがサイドポジションマークは蓄光素材が採用されていて、他のKG-Primeシリーズを踏襲した仕様となっています。

フレットは「Jescar: #55090 (Jim Dunlop: #6105に相当する、幅がやや狭く背が高いタイプ)」が採用されていて、端面を立てた・滑らかなエッジ処理が施されているのでフレット端まで有効に使えますし引っ掛かる感じも皆無です。ただ、松本さんは幅が広くて背が高いフレットを好む傾向にあると思っていましたので少し意外な仕様でした。

ヘッド形状&ロックナット&ペグ

ヘッド形状はキラー・オリジナルでペグを5対1に配置しています。1990年代のインタビューによると「オリジナル形状であること、ロックナットを付けないギターの場合の1弦のバランスが取りやすいこと、各弦をできるだけ真っ直ぐに張ること」などを考慮した結果、このような形状になったとのことです。

ロックナットは「Floyd Rose Original R2 (上止め)」が採用されていて、ほとんどのKG-Primeシリーズと同様となっています。かつてはネックに貫通穴を空ける裏止めが多かった印象がありますがネックの強度を考えると上止めの方が良いと個人的には思います。

ペグは"Schaller: M6 mini"が採用されていますが、5対1のヘッド形状のため1弦のみ通常とはペグを回す方向が逆になります。つまり通常弦を緩める方向に回すと締まっていくのでうっかりしていると弦を切ってしまう可能性があります。ここは慣れてしまえば問題ないと思っています。

ストラップピン

ボディ・エンド側は他のKG-Primeシリーズと同様ですが、ネック側はボディ裏ではなくホーン先端に取り付けられているのが特徴です。これもタッカンから貰ったKG-Prime (Vintage Gold)もストラップピン取り付け位置をホーン先端に移動していますので、この方が松本さんが好むバランスを実現できるためと推察されます。

ストラップピンは標準でロック式が取り付けられていて、カタログでは"Schaller: S-Locks"とされていますが、実際にボディに取り付けられているストラップボタンは旧製品の"Security Locks"で、ストラップ本体に取り付けるストラップロック&ロックホイールのみ"S-Locks"となっています。

余談ですが、新型の"S-Locks"はボディ形状や取付位置によってはステージでの激しいアクションなどの負荷によってロックピンごと捥げる事例があると購入時に伺っています。ロックピン本体への力のかかり方が変わってしまったのが理由とのことで、旧型の"Security Locks"ではあまり聞かない症例とのことでした。そのせいか、2021年に販売開始されたニューモデルはカタログ上でも旧型の"Security Locks"となっています。

おわりに

以上できる限り詳細に見てきましたが、形こそKG-Primeを踏襲していますが随所に松本さんの好み・拘りが反映されていて、従来のKG-Primeシリーズがストラトキャスターの延長線上にあるのに対して、Thunderwingはレスポールの延長線上にあるのがわかります。

そのためレスポールから持ち替えても違和感なく演奏できると思いますし、サウンド的にも扱いやすく、敢えてアンプやエフェクターのセッティングを変えないのもアリだと思います。

またポリ塗装ということもあり日々のメンテナンス性、状態維持もしやすいのも長く使用していく上で大きなメリットだと思います。

最後に協調したいのは作りの良さはもちろんですが入手したままの状態でも素晴らしいセットアップがされていて、私の好みを完璧に把握されている、いつもお世話になっているリペアマンの方も「今回は敢えて弄らなくても良いのでは」と仰るほどで、メイドインジャパンのギターの素晴らしさを改めて感じました。

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